新NISAのデメリットとは?失敗しないための注意点をわかりやすく解説
吉原 武志
よしはら たけし
- 3級ファイナンシャル・プランニング技能士
【専門分野・得意分野】生命保険・ライフプランニング
【自己紹介】業界歴14年の経験を活かし、お客様お一人おひとりの生活環境や将来のご希望を丁寧に伺い、寄り添った提案をいたします。
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新NISAのデメリットとは?失敗しないための注意点をわかりやすく解説
2024年から始まった新NISAは、投資で得た利益が非課税になるメリットの大きい制度として注目されています。しかし、メリットばかりに目が行きがちですが、新NISAのデメリットや制度上の欠点も存在します。
何も知らずに始めると、思わぬ落とし穴にはまってしまう可能性もゼロではありません。
この記事では、新NISAに潜むデメリットをわかりやすく解説し、失敗しないための具体的な対策や注意点を詳しく紹介します。
【この記事でわかること】
・新NISAに潜む税制上のデメリットと制度上の注意点
・新NISAでの資産形成が向いていない人の3つの共通点
・失敗を回避し、非課税メリットを最大限に活かすための投資原則
新NISAに潜む6つのデメリット【知らないと損する注意点】
新NISAは多くの利点を持つ一方で、全ての投資家にとって完璧な制度というわけではありません。
特に、税制上の扱いや旧制度からの移行ルールなど、事前に知っておくべき欠点が存在します。
ここでは、新NISAのデメリットとして特に注意したい6つのポイントを掘り下げて解説します。
これらの注意点を理解することが、賢い資産運用の第一歩です。
資産運用全般については「資産運用」で詳しく紹介しています。

デメリット①:損失が出ても他の利益と相殺(損益通算)できない
新NISA口座での投資で損失が発生した場合、その損失を他の課税口座(特定口座や一般口座)で得た利益と相殺する「損益通算」ができません。
例えば、新NISA口座で10万円の損失を出し、同時に特定口座で20万円の利益を得たとします。
この場合、特定口座の利益20万円全額に対して約20%の税金がかかり、NISA口座の損失は税計算上考慮されません。
課税口座であれば損益通算によって課税対象額を10万円に圧縮できますが、NISAではそれができないため、税制上不利になる場面があり得ます。
デメリット②:損失を翌年以降に繰り越せない(繰越控除の対象外)
損益通算ができないことに加え、新NISA口座で発生した損失は翌年以降に繰り越して、将来の利益と相殺する「繰越控除」の対象外です。課税口座では、その年に出た損失を最大3年間繰り越し、翌年以降に利益が出た際に相殺して税負担を軽減できます。
しかし、新NISAではこの制度が適用されません。
年間を通じて大きな損失を被ったとしても、その損失はNISA口座内で切り捨てられ、将来の節税に活かせないという欠点があります。
デメリット③:旧NISA口座からの資産の移管(ロールオーバー)は不可
2023年までの旧NISA(一般NISA・つみたてNISA)で保有している金融商品を、新NISA口座に直接移すこと(ロールオーバー)はできません。
旧NISAと新NISAは全く別の制度として扱われるためです。
もし旧NISAで保有する商品を新NISAで運用し続けたい場合は、一度その商品を売却して現金化し、その資金を使って新NISAの非課税投資枠内で新たに買い直す必要があります。
このルールを知らないと、旧NISAの非課税期間が終了した際に資産が自動で課税口座へ移管されてしまいます。
デメリット④:米国株の配-当金にかかる税金は取り戻せない
米国株などの外国株式に投資した場合、配当金に対してはまず現地で税金が源泉徴収され、その後日本でも課税されます。
課税口座であれば、この二重課税を調整するために「外国税額控除」という制度を確定申告で利用し、外国で支払った税金の一部を取り戻すことが可能です。
しかし、新NISA口座ではこの外国税額控除が適用されません。
そのため、米国で源泉徴収された10%の税金はかかったままとなり、高配当株や個別株で配当金を重視する投資戦略を取る際には注意が必要です。
デメリット⑤:短期間で利益を狙う短期売買には向いていない
新NISAは、長期的な視点での資産形成を後押しするための制度設計になっています。年間投資枠には上限(つみたて投資枠120万円、成長投資枠240万円)が設けられており、商品を売却した場合、翌年以降に売却した商品の取得金額の分だけ非課税投資枠が復活し、再利用が可能になります。そのため、デイトレードやスイングトレードのように一日に何度も売買を繰り返す短期投資を行うと、あっという間に年間投資枠(最大360万円)を使い切ってしまう可能性があり、翌年まで新たな資金を非課税枠で投資できなくなります。非課税の恩恵を最大限に活用するには、腰を据えた長期投資が前提となり、短期売買をメインに考えている投資家にとっては、その年の枠を早期に使い切ってしまう可能性がある点に留意が必要です。
デメリット⑥:生涯非課税限度額の再利用を意識しすぎた無理な投資につながりやすい
新NISAでは、保有商品を売却すると、その商品の簿価(取得価額)分の生涯非課税限度額(1,800万円)が翌年に復活し、再利用できるという新しいルールが導入されました。
これは柔軟性が高いメリットである一方、「早く限度額を埋めること」が目的化してしまう危険性もはらんでいます。
相場が高値圏にあるにもかかわらず焦って投資枠を埋めようとしたり、自分のリスク許容度を超えた無理な金額を投資してしまったりするなど、冷静な投資判断を妨げる一因になる可能性があります。
「新NISAはやめとけ」と言われる人の3つの共通点
新NISAは多くの人にとってメリットの大きい制度ですが、一部では「やめとけ」という声も聞かれます。こうした意見が出る背景には、個人の投資スタイルや資金状況が制度の趣旨と合っていないケースが考えられます。
ここでは、新NISAの利用をやめた方がいい、あるいは失敗しやすい人に共通する3つの特徴について解説します。
生活防衛資金を確保せずに投資を始めてしまう人
投資は、あくまで日々の生活に影響のない「余剰資金」で行うのが大原則です。
病気や失業、急な出費といった不測の事態に備えるための生活防衛資金を確保せずに投資を始めてしまうと、非常に危険です。
もし株価が下落しているタイミングで急にお金が必要になった場合、損失を抱えたまま大切な資産を売却せざるを得ない状況に陥ります。
まずは足元の生活を盤石にすることが最優先です。
老後資金については「老後資金の基礎知識と準備方法」で詳しく紹介しています。
短期的な値動きに一喜一憂し、すぐ売却してしまう人
株式市場は常に変動しており、短期的な価格の下落はつきものです。
新NISAで長期的な資産形成を目指す以上、一時的な含み損に動揺してすぐに解約・売却してしまう人は向いていません。
価格が下がった時に慌てて売る「狼狽売り」は、その後の価格回復の機会を逃し、損失を確定させるだけの行為になりがちです。
価格変動は当然のことと捉え、冷静に資産を保有し続ける胆力が求められます。
短期売買で利益を狙うスタイルは、NISAの趣旨とは異なります。
流行りの銘柄やテーマに集中投資してしまう人
話題の個別株や、特定のテーマ(AI、EVなど)に特化した投資信託に資金を集中させることは、大きなリスクを伴います。その企業の業績が悪化したり、テーマの流行が過ぎ去ったりすると、資産価値が大きく減少する可能性があります。
新NISAの非課税メリットを活かすには、リスクを分散させることが重要です。
「オルカン」のような全世界株式に連動するインデックスファンドなどを活用し、特定の国や銘柄に偏らないポートフォリオを組むのが基本戦略です。
デメリットを理解して新NISAで失敗しないための3つの回避策
新NISAのデメリットや失敗しやすい人の特徴を理解した上で、次はその対策を考えることが重要です。
いくつかのポイントを押さえることで、リスクを管理し、制度の恩恵を最大限に享受することが可能になります。
ここでは、新NISAで失敗しないために実践したい具体的な3つの回避策を紹介します。

①家計に無理のない範囲で余剰資金から始める
投資を始める前に、まず自身の家計状況をしっかりと把握しましょう。
万が一の事態に備える生活防衛資金(生活費の最低3ヶ月分、できれば半年~1年分)を預貯金で確保することが最優先です。
その上で、当面使う予定のない余剰資金の中から、毎月無理なく捻出できる金額で投資をスタートさせましょう。
生活を切り詰めてまで行う投資は、精神的な余裕を失い、冷静な判断を妨げる原因になります。
老後に向けた資金計画については「老後資金の資金計画」で詳しく紹介しています。
②長期的な視点でコツコツ積立投資を継続する
市場の価格変動を予測することはプロでも困難です。
そのため、短期的な値動きに一喜一憂せず、長期的な視点で資産を育てていく姿勢が大切です。
毎月決まった日に決まった金額を買い続ける積立投資は、価格が高い時には少なく、安い時には多く購入できるため、平均購入単価を平準化させる効果ドルコスト平均法が期待できます。
市場が良い時も悪い時も、淡々とつみたて投資を保有し続けることが、成功への鍵となります。
③投資先を世界中に分散してリスクを低減させる
「卵は一つのカゴに盛るな」という投資の格言があるように、資産を一つの投資先に集中させるのは危険です。特定の国や地域、資産クラスに偏らず、世界中のさまざまな資産に広く分散させることがリスク管理の基本です。
全世界の株式にまとめて投資できる投資信託(通称:オルカン)や、米国を代表する株価指数に連動するETFなどを活用すれば、一本の商品で手軽に国際分散投資が実現でき、リスクの低減につながります。
デメリットだけじゃない!新NISAが持つ3つの大きなメリット
ここまで新NISAのデメリットや注意点について解説してきましたが、それらを上回る大きな利点があるからこそ、多くの人に推奨されている制度です。
税制上の優遇措置や制度の柔軟性は、他の金融商品にはない強力な魅力です。
ここでは、新NISAが持つ代表的な3つのメリットを改めて確認します。

メリット①:投資で得た利益が生涯にわたって非課税になる
新NISA最大の利点は、投資で得た利益(値上がり益や配当金・分配金)が非課税になる点です。
通常、株式や投資信託の利益には20.315%の税金がかかりますが、新NISA口座内での取引であればこれが一切かかりません。
さらに、非課税で保有できる期間に上限がなく、生涯にわたって非課税の恩恵を受け続けられます。
長期的な資産形成において、この税金の差は最終的な手取り額に非常に大きな影響を与えます。
メリット②:売却すれば非課税投資枠が翌年に復活し再利用できる
新NISAでは、保有している商品を売却した場合、その商品を取得した時の金額(簿価)分の非課税投資枠が翌年以降に復活し、再利用できるという画期的なルールが導入されました。
これにより、例えば子どもの教育資金や住宅購入の頭金など、ライフイベントで一時的に資金が必要になった際にも、安心して資産を引き出すことが可能です。
その後、資金に余裕ができれば、復活した枠を使って再び非課税投資を始められるため、制度の柔軟性が格段に向上しています。
メリット③:年間投資上限額が最大360万円に拡大された
新NISAでは、年間の投資上限額が大幅に拡大されました。
コツコツ積立投資が中心の「つみたて投資枠」で年間120万円、個別株や多様な投資信託にも投資できる「成長投資枠」で年間240万円、合計で最大360万円まで投資が可能です。
生涯にわたる非課税保有限度額も1,800万円と大きな枠が設定されており、これまで以上にスピーディーでまとまった金額の資産形成を目指せる制度になりました。
老後資金の不安はファイナンシャルプランナー(FP)に相談して解消しよう
新NISAは老後資金準備のための強力なツールですが、「自分にはどの商品が合っているのか」「いくらずつ投資すれば良いのか」など、具体的な運用方法に悩む人も少なくありません。
特に、退職金などのまとまった資金の扱いや、長期にわたる資産形成の計画については、専門的な知識が求められる場面もあります。
一人で悩まず、銀行や証券会社、あるいは中立的な立場のファイナンシャルプランナー(FP)などに相談し、客観的なアドバイスを受けることも有効な選択肢の一つです。
ファイナンシャルプランナーへの相談については「ファイナンシャルプランナー相談の注意点」で詳しく紹介しています。
マネナビに寄せられた新NISA活用のご相談事例
実際に新NISAをどのように活用すれば良いのか、多くの方が悩みを抱えています。
ここでは、マネナビに寄せられたご相談の中から、新NISAの活用に関する具体的な相談例を2つご紹介します。
それぞれの状況に応じて、ファイナンシャルプランナー(FP)がどのように考え方を整理し、次の一歩をサポートしたのかを見ていきましょう。
事例①:50代女性「新NISAを老後資金づくりにどう活用すればよいか分からなかった」
この相談例では、新NISAを始めたものの、老後の資産形成という目標に向けて具体的にどう活用すべきか方針が定まらない、というご相談でした。
ファイナンシャルプランナー(FP)との面談を通じて、まずはご自身の家計状況やリスク許容度を再確認。
その上で、老後までに目標とする金額から逆算した毎月の積立額の考え方や、長期的な運用を続ける上での注意点などを整理し、ご自身に合った運用方針を明確にすることができました。
老後資金の相談については「老後資金の相談はFPにするべき?」で詳しく紹介しています。
事例②:60代男性「退職金をどう使えばいいか分からず、資産運用を検討していた」
まとまった退職金を前に、どのように使えば良いのか決めかねていたという相談例です。
老後の生活資金として守るべきお金と、将来のために資産運用に回せるお金のバランスをどう取るべきか悩んでいました。
ファイナンシャルプランナー(FP)は、まず今後のライフプランや収支の見通しをヒアリング。
その上で、退職金を生活費、予備費、投資資金に色分けして考える方法を提案し、新NISAを活用した長期的な資産運用の考え方について丁寧に整理しました。
新NISAのデメリットに関するよくある質問
新NISAを始めるにあたり、デメリットに関して気になる点は多いはずです。
ここでは、特に多くの方が疑問に思う点や不安に感じる点について、Q&A形式で簡潔にお答えします。
制度への理解を深め、安心してスタートするための参考にしてください。
- Q新NISAで元本割れするリスクはありますか?
- A
はい、元本割れのリスクはあります。
新NISAは投資であり、預貯金とは異なります。
購入した金融商品の価格は日々変動するため、購入時よりも価格が下落すれば元本割れとなります。ただし、長期・積立・分散投資を心がけることで、価格変動リスクを低減させる効果が期待できます。
- Q新NISAはデメリットしかないと聞きましたが本当ですか?
- A
いいえ、それは誤解です。
損益通算ができないなどのデメリットは確かに存在しますが、投資で得た利益が非課税になるという非常に大きなメリットがあります。
通常約20%かかる税金がゼロになる恩恵は、デメリットを上回るケースがほとんどです。メリット・デメリット双方を正しく理解することが重要です。
- Q新NISAのデメリットを踏まえると、どのような人が向いていないのでしょうか?
- A
生活防衛資金が貯まっていない人や、余剰資金ではなく生活費で投資しようとする人はやめた方がいいでしょう。
また、短期的な価格変動に耐えられず、すぐに売却してしまう人や、短期間で大きな利益を狙うスタイルの人も向いていません。
新NISAは、長期的な視点でコツコツと資産形成を目指す人に適した制度です。
マネナビが選ばれる3つの理由
老後や資産形成に関する悩みは複雑で、誰に相談すれば良いか分からないことも多いでしょう。
マネナビは、特定の金融商品を売ることを目的とせず、お客様一人ひとりの状況を整理し、次の一歩を考えるためのお手伝いをしています。
ここでは、マネナビが大切にしている3つのポイントをご紹介します。
マネナビの老後資金に関する情報については「老後資金」で詳しく紹介しています。
答えを急がず、考える順番を一緒に整理します
お金の悩みは、何から手をつければ良いか分からなくなりがちです。
マネナビでは、いきなり結論や対策を提示することはありません。
まずは現状を丁寧にお伺いし、不安に感じていることを言語化するお手伝いをします。
そして、複雑に絡み合った課題を一つずつ解きほぐし、どの問題から考えるべきか、その順番を一緒に整理していきます。
利用者のペースを尊重し、落ち着いて考えられる環境を提供します
老後や相続、資産運用といったテーマは、不安を感じやすく、焦って結論を出しがちです。
だからこそ、私たちは過度に不安を煽るような表現を使ったり、結論を急がせたりすることはいたしません。
相談者様ご自身のペースを何よりも尊重し、リラックスした状態で、落ち着いて将来のことを考えられる環境づくりを大切にしています。
無理な勧誘はなく、中立的な立場で選択肢を提示します
私たちの役割は、特定の保険や投資信託を販売することではありません。
あくまでも相談者様の状況やご意向に沿って、考えられる選択肢を中立的な立場で提示することです。
時には「今は何もしない」という選択が最善であるケースもあります。
相談したからといって何かを契約する必要は一切なく、無理な勧誘も行わないことをお約束します。
まとめ
新NISAは、利益が非課税になる強力なメリットを持つ一方で、損益通算や繰越控除ができないといった税制上のデメリットも存在します。
また、短期売買には向かず、生活防衛資金を確保していない人が手を出すべきではありません。
これらの注意点を十分に理解し、「余剰資金で」「長期的な視点を持ち」「分散投資を徹底する」という3つの基本原則を守ることが、新NISAで失敗しないための鍵です。
デメリットを正しく認識し、制度を賢く活用することで、将来に向けた着実な資産形成が可能になります。
自分の場合はどう考える?
不安を整理したい方へ
記事を読んで「自分のケースではどうだろう?」と感じたら、状況を整理するところから始められます。