孫への「教育資金の一括贈与」が終了した今、注目されている「都度贈与」の活用法と相続税の注意点
中野 雄一
なかの ゆういち
- 2級ファイナンシャル・プランニング技能士
- 認知症サポーター
【専門分野・得意分野】
・相続・終活コンサルティング(不動産、家族信託、介護、お墓など)
・資産運用・ライフプランニング
・生命保険・医療保険
【自己紹介】
1,000世帯以上の相談実績を持つ終活の専門家。相続から不動産・保険などのお悩みに対し、幅広い知識で最適な情報を提供する。
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孫への「教育資金の一括贈与」が終了した今、注目されている「都度贈与」の活用法と相続税の注意点
かつて孫へ教育資金を援助するための強力な非課税制度として親しまれた「教育資金の一括贈与」ですが、この特例は2026年3月末をもって終了(廃止)となりました。
しかし、まとまった資金を一度に動かす特例制度が使えなくなった今でも、必要なタイミングでその都度費用を支払う「都度贈与」という非課税の方法が有効な代案として残されています。
これからの教育資金援助は、この「都度贈与」をベースに、各家庭の状況に合わせて方法を検討することが重要です。
孫への教育資金贈与は2026年3月で終了!最大1,500万円が非課税になる特例とは
「教育資金の一括贈与に係る非課税措置」とは、祖父母や親から30歳未満の子や孫、ひ孫へ教育資金をまとめて贈与する場合、1,500万円まで贈与税が非課税になる制度でした。金融機関に専用口座を開設し、一括で資金を預け入れることで適用されていましたが、この特例制度は2026年3月31日をもって終了しました。
将来必要になる教育資金を前倒しで一括して非課税で渡せたため、かつては生前贈与による相続税対策の定番として活用されていました。
【ポイント】すでに開設している口座について、2026年3月末までに特例を利用して開設された専用口座については、制度終了後も引き続き、孫が30歳に達するまで(一定の要件を満たせば最長40歳まで)非課税で引き出して使うことができます。新しく口座を作って一括入金すること(新規契約)ができなくなっています。
非課税の対象になる教育資金の具体的な使い道
教育資金贈与における非課税の対象となる資金は、学校等に直接支払われる費用と、それ以外の費用の2種類に分けられます。非課税限度額の総額は1,500万円です。このうち、学校等に支払う入学金や授業料は1,500万円までが非課税の対象となります。一方、塾や習い事の月謝など、学校以外に支払う費用については、総額1,500万円の枠内で上限500万円までが非課税となります。
対象範囲は広く、留学費用や通学定期券代なども含まれますが、対象外の支出に充てないよう注意が必要です。
①学校に支払う入学金や授業料
非課税枠1,500万円の対象となるのは、幼稚園や小・中学校、高校、大学、専門学校など、学校教育法で定められた学校等に直接支払われる費用です。
具体的には、入学金や入園料、授業料、施設設備費、学用品の購入費、修学旅行費などが該当します。
学校の寮費も対象に含まれる場合があります。
これらの支払いを証明する領収書などを金融機関に提出することで、専用口座から資金を引き出せます。
②塾や習い事に使う月謝や費用
学校以外の教育サービスに支払う費用は、上限500万円までが非課税対象となります。
学習塾やそろばん教室、水泳やピアノといった習い事の月謝、指導対価などが該当します。
また、これらの施設に通うための通学定期券代や、留学に行く際の渡航費なども対象に含まれます。
幅広い用途に利用できますが、どの費用が対象になるか事前に金融機関へ確認しておくと安心です。
特例が無くなった今、最強の代案となる「都度贈与」という選択肢
まとまった資金を一度に贈与する特例制度は使えなくなりましたが、孫の教育資金を非課税で援助する方法が閉ざされたわけではありません。その確実な代案となるのが「都度贈与(つどぞうよ)」です。
これは、入学金や授業料など、教育に必要な費用が発生するたびに、その都度、必要な金額だけを直接支払う(または振り込む)方法を指します。
扶養義務者(親や祖父母)が生活費や教育費として必要な分をその都度支払うことは、そもそも日本の税法上、原則として贈与税の対象外(非課税)とされています。一括贈与のような1,500万円という上限金額の制限もなく、事前の確実な税金対策として非常に有効です。
これからは「都度贈与」と「暦年贈与」をどう使い分ける?
一括贈与の特例という選択肢が無くなったこれからの時代は、「都度贈与」と、年間110万円の基礎控除を利用する「暦年贈与(れきねんぞうよ)」の2つをどう組み合わせるかがカギになります。
①手続きの手間を省き、教育費をダイレクトに支援したいなら「都度贈与」
領収書の管理や金融機関への提出といった面倒な手続きを避けたい場合は「都度贈与」が最適です。必要な時に必要な金額を学校等に直接支払うだけなので、特別な口座開設や税務署への申告は不要です。資金が口座に固定されることもないため、老後資金の変動など状況の変化に柔軟に対応できます。多くの家庭では、高額な大学の入学金などを支払う際にこの都度贈与を行うことで、非課税での資金援助が十分に可能です。
②使い道を制限せず、将来のためにコツコツ残してあげたいなら「暦年贈与」
都度贈与は「その時に必要な費用」にしか使えないため、あらかじめ孫の口座にお金を貯めておくことはできません。もし、将来の結婚資金や車代、あるいは10年後の教育費のために今からお金を渡しておきたい場合は、年間110万円まで税金がかからない「暦年贈与」をコツコツ進めるのが向いています。
都度贈与を「非課税」にするための具体的な注意点と流れ
都度贈与は非常に便利な仕組みですが、税務署から「これは教育費の都度贈与ではなく、通常の贈与(課税対象)だ」と指摘されないために、以下の点に注意して実践しましょう。

【STEP1】:「必要な時に、その都度」支払う
例えば、大学4年間の学費として「400万円」を一度に孫の口座に振り込んでしまうと、たとえ全額を教育費に使ったとしても、一括贈与の特例が終了した今では原則として贈与税の対象になってしまいます。「前期の授業料50万円」「後期の授業料50万円」というように、支払うべきタイミングで、その都度支払うことが鉄則です。
【STEP2】:孫の口座を経由せず、学校等へ「直接振り込む」
祖父母の口座から、大学や学校の指定口座へ直接振り込む方法が一番安全です。もし孫や親の口座に一度移す場合は、振り込まれたらすぐに学校への支払いに充て、口座に資金を滞留させないようにしてください。
【STEP3】:領収書や振込控えを保管しておく
都度贈与には金融機関への領収書提出義務はありませんが、万が一税務署から確認を求められた際、「確かに教育費としてこの日に支払った」と証明できるよう、学校の請求書や振込控(レシート)を数年間は手元に保管しておくのが安心です。
複雑な相続・贈与の悩みは専門家への相談で整理しよう
孫への教育資金贈与は、一括特例が終了したことで、これからの進め方に迷う方が増えています。特例に頼らずとも「都度贈与」で十分対応できるケースは多いですが、他の資産の相続税対策や、暦年贈与との組み合わせなど、最適な方法は個々の資産状況や家族構成によって大きく異なります。判断に迷う場合は、一人で抱え込まずに専門家へ相談することをおすすめします。
専門家は客観的な視点から状況を整理し、家庭に合った選択肢を見つける手助けをしてくれます。
マネナビを活用した相談事例
相続や贈与に関する悩みは多岐にわたりますが、専門家への相談を通じて課題が明確になり、次の一歩を踏み出せるケースが多くあります。
マネナビでは、利用者の状況に合わせた情報整理や専門家の紹介を行っており、漠然とした不安を具体的な行動計画に変えるサポートをしています。
マネナビのサービス内容については「マネナビのサービス紹介」で詳しく紹介しています。
ここでは、実際にマネナビをご利用いただいた方の相談事例を紹介します。
【60代・女性】何から始めるべきかわからなかった相続準備の全体像を整理できた
親の相続について、準備の必要性を感じてはいたものの、何から手をつければよいか分からず不安を抱えていました。相談を通じて、相続の全体像や考えるべきことの優先順位を整理してもらえたことで、漠然とした不安が解消されました。
これをきっかけに、家族で相続について話し合う準備が整い、前向きに進めることができるようになりました。
【50代・男性】売却か保有か悩んでいた実家の相続方針が明確になった
将来相続する予定の実家について、売却すべきか、活用すべきか、あるいはそのまま保有し続けるべきか、方針を決められずに悩んでいました。専門家から不動産相続に関する基本的な考え方や手続きの流れ、判断に必要なポイントについて説明を受けました。
その結果、家族で話し合うべき点が明確になり、自分たちの状況に合った方針を具体的に検討できるようになりました。
【60代・女性】親の認知症に備えるお金の管理方法を事前に把握できた
親の物忘れが増えてきたことから、将来の認知症やそれに伴うお金の管理について心配していました。
相談では、認知症と資産管理に関する基本的な知識や、判断能力が低下する前に家族として準備できる対策について整理してもらいました。
事前に備えることの重要性を理解し、具体的な対策を検討するきっかけを得ることができました。
孫への教育資金贈与に関するよくある質問
孫への教育資金贈与を検討する際には、さまざまな疑問が生じます。
特に、他の贈与制度との関係や、制度を利用した後の注意点については、多くの方が関心を持つポイントです。
ここでは、教育資金贈与に関して頻繁に寄せられる質問とその回答をまとめました。
制度を正しく理解し、効果的に活用するための参考にしてください。
- Q暦年贈与(年間110万円の非課税枠)との併用はできますか?
- A
はい、併用できます。
教育資金贈与の1,500万円の非課税枠は、暦年贈与の年間110万円の基礎控除とは別の制度です。
したがって、同じ年に教育資金贈与の特例を利用した孫に対して、さらに110万円以内の贈与を行っても贈与税はかかりません。両方の非課税枠を組み合わせることで、より多くの資産を効率的に次世代へ移すことが可能です。
- Q贈与された教育資金を使い切れなかった場合、どうなりますか?
- A
孫が30歳に達した時点で口座に残額がある場合、その残額に対して贈与税が課されます。
残額は30歳になった年に贈与されたものとして扱われ、その年の贈与税の申告が必要になります。
そのため、将来必要となる教育費を慎重に見積もり、使い切れる範囲の金額を贈与することが重要です。もし残額が出そうな場合は、早めに使い道を検討する必要があります。
- Q贈与する側(祖父母)が亡くなった場合、口座の残高は相続財産になりますか?
- A
はい、原則として相続財産に含まれます。
税制改正により、贈与者が亡くなった時点で口座に残っている資金は、相続税の課税対象となりました。
ただし、孫が23歳未満である場合や、学校等に在学している場合など、一定の要件を満たせば課税対象から除外されます。この点は制度が複雑化しているため、専門家への確認をおすすめします。
マネナビが選ばれる3つの理由
相続や老後のお金の悩みは複雑で、どこから手をつければよいか分からないと感じる方も少なくありません。
マネナビでは、利用者が安心して相談し、自分に合った解決策を見つけられるよう、独自のサポート体制を整えています。
ここでは、多くの方にマネナビが選ばれている3つの理由についてご紹介します。
①利用者の状況に合わせて考える順番を整理
マネナビでは、いきなり具体的な対策や商品を提案することはありません。
まず、利用者一人ひとりの状況や不安に思っていることを丁寧にヒアリングし、何が問題で、どこから考えるべきかという「思考の整理」から始めます。
お金の悩みに関する全体像を把握し、考える順番を整えることで、利用者が落ち着いて次のステップに進めるようサポートします。
②専門用語を使わない分かりやすい説明
相続や贈与、保険などの話には、専門用語が多く登場し、難しく感じられがちです。
マネナビでは、そうした専門用語を極力使わず、平易な言葉で分かりやすく説明することを心がけています。
制度のメリット・デメリットや判断に必要なポイントを的確に伝えることで、初めての方でも全体像をしっかりと理解できるように努めています。
③無理な勧誘がなく安心して相談できる
ご相談いただいたからといって、何らかの契約を迫ることは一切ありません。
利用者の状況を整理した結果、「今は何もしない」という結論に至ることもあります。
あくまでも利用者の意思を尊重し、中立的な立場で情報提供や選択肢の提示を行います。
無理な勧誘や特定の結論を押し付けることはないため、安心してご利用いただけます。
まとめ
孫への教育資金贈与の選択肢だった「一括贈与」の特例は2026年3月末で終了しました。しかし、今後は手続きが不要で確実な代案である「都度贈与」を活用することで、これまで通り非課税での資金援助が可能です。
都度贈与は「まとめて一括で渡すと課税される」という注意点さえ守れば、非常に柔軟で使い勝手の良い方法です。これからの時代に合った正しい仕組みを理解し、ご自身の家庭の状況に合った方法を選択していきましょう。
自分の場合はどう考える?
不安を整理したい方へ
記事を読んで「自分のケースではどうだろう?」と感じたら、状況を整理するところから始められます。