仕送りで贈与税がかかるケースとは?非課税の条件と注意点を解説
吉原 武志
よしはら たけし
- 3級ファイナンシャル・プランニング技能士
【専門分野・得意分野】生命保険・ライフプランニング
【自己紹介】業界歴14年の経験を活かし、お客様お一人おひとりの生活環境や将来のご希望を丁寧に伺い、寄り添った提案をいたします。
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仕送りで贈与税がかかるケースとは?非課税の条件と注意点を解説
親から子へ、あるいは子から親へ仕送りをしている場合、そのお金が贈与税の対象になるのか不安に思う方は少なくありません。
仕送りとは、本来生活に困窮する家族への援助であり、贈与税がかからないのが基本です。
しかし、渡し方や金額によっては贈与とみなされ、課税対象となるケースも存在します。
本記事では、贈与税がかかる場合とかからない場合の違いや、非課税の条件、注意点について詳しく解説します。
原則として、生活費や教育費の仕送りに贈与税はかからない
親子間や夫婦間といった扶養義務者からの仕送りで、それが生活費や教育費として必要な範囲内のものであれば、原則として贈与税はかかりません。
これは、相続税法第21条の3で「扶養義務者相互間において生活費又は教育費に充てるためにした贈与により取得した財産のうち通常必要と認められるもの」については、贈与税を課さないと定められているためです。
この非課税の規定により、日常的な仕送りは非課税の対象として扱われます。
①贈与税が非課税になる「扶養義務者」の範囲とは?
贈与税が非課税になる仕送りは、「扶養義務者」の間で行われる必要があります。
民法で定められている扶養義務者の範囲は、配偶者、直系血族(祖父母、両親、子、孫など)、そして兄弟姉妹です。
これに加えて、家庭裁判所の審判を受けて扶養義務者となった三親等内の親族も含まれます。
したがって、親子や夫婦、兄弟間の仕送りはもちろん、祖父母から孫への教育費の援助なども、この扶養義務の範囲内とみなされる家族間の行為となります。
②「贈与」とみなされるものと「仕送り」の根本的な違い
「仕送り」と「贈与」の根本的な違いは、その目的にあります。
仕送りは、扶養義務者が生活に困窮している親族を助けるために金銭を送る「扶養義務の履行」です。
一方、贈与は当事者の一方が自己の財産を無償で相手方に与える意思表示をする「契約」であり、生前贈与のように将来の相続財産を前渡しする目的で行われることもあります。
税務上、この目的の違いが課税対象となるかどうかの重要な判断基準となります。
仕送りが贈与税の対象外となるための2つの非課税条件
仕送りが贈与税の対象とならないためには、特定の非課税要件を満たす必要があります。国税庁の定めに従い、扶養義務者から生活費や教育費に充てるために取得した財産で、通常必要と認められるものは贈与税の対象とならないとされています。これらの要件から外れる場合、家族間の援助であっても贈与とみなされ、課税対象となる可能性があるため注意が必要です。
【条件1】生活や教育のために「通常必要と認められる金額」であること
非課税となる仕送りは、その目的が生活費や教育費であり、かつ金額が社会通念上「通常必要と認められる範囲」でなければなりません。
いくらが妥当かという明確な基準はありませんが、受け取る側の収入や生活水準を考慮して判断されます。
例えば、一人暮らしの大学生への仕送りとして月5万~10万円程度は一般的ですが、収入のない子に月20万円を送る場合も状況次第で認められます。
また、大学の入学金や授業料など、高額であっても目的が明確なものは通常必要と認められます。
【条件2】必要なタイミングで都度、使い道を明確にして渡すこと
仕送りは、「必要な都度」直接生活費や教育費に充てるために渡すことが原則です。
例えば、毎月の生活費や、学費の納付時期に合わせてその都度送金する方法が該当します。
数年分をまとめて渡すのではなく、必要な時に必要な分だけ渡すことで、生活や教育の資金としてすぐに消費されることが明確になります。
後から税務署に確認された際に、贈与ではなく生活費の援助であったことを証明するためにも、この「都度払い」は重要なポイントです。
【要注意】贈与税の対象とみなされる仕送りの5つのパターン
扶養義務者間の仕送りであっても、渡し方や目的によっては贈与税がかかる場合があります。
生活費や教育費という名目から逸脱したと判断されると、課税対象になる可能性があるため注意が必要です。
ここでは、贈与税の対象とみなされやすい5つの具体的なパターンを解説します。

パターン①:生活費の名目で受け取り、貯金や株式投資に回した場合
親から生活費の名目で仕送りされたお金を、生活のために使わずに貯金したり、株式や投資信託の購入資金に充てたりした場合は、贈与税の課税対象となります。
非課税の対象となるのは、あくまで生活や教育のために消費される金です。
生活費として使いきれずに残った分も、本来の目的から外れるため、贈与とみなされる可能性があります。
パターン②:将来の費用として数年分を一括で前渡しした場合
「将来の生活費や学費のために」という目的であっても、数年分をまとめて一括で渡すと贈与税の対象となります。
例えば、大学4年間の学費と生活費として500万円を一度に渡すようなケースです。
非課税の原則は「必要な都度」渡すことであるため、300万円のような大金を一括で渡すと、すぐに使われない財産を渡したとみなされ、贈与と判断される可能性が高まります。
パターン③:生活費の範囲を明らかに超える高額な仕送りをした場合
社会通念上、通常の生活費とは考えにくい高額な仕送りも贈与税の対象です。
いくらからが高額かという明確な基準はありませんが、受け取る側の生活レベルに見合わない金額や、高級車・ブランド品の購入、旅行費用などに充当されるような場合は、生活に必要な資金とは認められません。
扶養の範囲を逸脱した贅沢のための資金提供は、贈与と判断されます。
パターン④:不動産や車など現金以外の財産を仕送りした場合
生活費や教育費の援助は、通常、現金で行われます。
そのため、親名義の不動産を無償で子に譲渡(名義変更)したり、車を買い与えたりした場合は、生活必需品の提供とは認められず、財産の贈与として課税対象になります。
これらの現金以外の財産は、生活を支えるための「仕送り」ではなく、資産そのものを渡す行為とみなされます。
パターン⑤:住宅ローンや車のローン返済に充てるための仕送りをした場合
子供の住宅ローンや車のローン返済を親が肩代わりする目的での仕送りは、贈与税の対象となります。
これらのローン返済は、資産形成の一環とみなされるため、生活費には含まれません。
一方で、賃貸住宅の家賃を支払うための仕送りは、生活を維持するために必要な費用として認められ、非課税の範囲内となります。
贈与税がかからないように仕送りするための3つの対策
仕送りが意図せず贈与とみなされる事態を避けるためには、いくつかの対策を講じておくことが重要です。贈与税がかからないようにするためには、非課税の条件を満たしていることを客観的に示せるようにしておく必要があります。
ここでは、誰が見ても「生活費・教育費のための仕送り」とわかるようにするための3つの具体的な対策を紹介します。
【対策①】必要な金額を必要な時に都度送金する
最も基本的かつ重要な対策は、必要な金額を、必要なタイミングでその都度送金することです。
将来分をまとめて送金するのではなく、毎月の生活費として月々送金したり、学費の請求が来たタイミングでその分だけを送金したりする方法が有効です。
これにより、資金がすぐに生活費や教育費として消費されることが明確になり、贈与の疑いを招きにくくなります。
【対策②】送金の目的がわかるように通帳記録や領収書を保管する
税務調査などで国税庁から問い合わせがあった際に、仕送りの目的を客観的に証明できるようにしておくことが大切です。
手渡しではなく銀行振込を利用し、通帳の摘要欄に「〇月分生活費」「学費」などと目的を記録しておくと良いでしょう。
また、大学の授業料など高額な支払いの場合は、請求書や領収書を保管しておくことで、送金額の妥当性を証明する有力な証拠となります。
【対策③】生活費とは別の目的の場合、年間110万円の基礎控除を活用する
もし生活費や教育費以外の目的で資金援助をしたい場合は、贈与税の基礎控除(暦年贈与)を活用する方法があります。
贈与税には、年間110万円までの贈与であれば税金がかからない非課税枠が設けられています。
この枠を利用すれば、受け取った側が貯蓄や投資に回したとしても、年間110万円の範囲内であれば贈与税の申告も納税も不要です。
海外留学中の子供への仕送りで贈与税を回避する注意点
海外に留学している子への仕送りも、国内への仕送りと同様に、生活費や教育費が目的であれば原則として贈与税はかかりません。
ただし、海外送金は金額が大きくなる傾向があるため、その目的をより明確に証明できるよう準備しておくことが重要です。
例えば、大学の在学証明書や、授業料・家賃の請求書などを保管しておき、送金額が学費や現地での生活に必要な範囲内であることを客観的に示せるようにしておきましょう。
仕送りすることで節税に繋がる「扶養控除」の活用方法
離れて暮らす親や大学生の子供に仕送りをして生計を支えている場合、贈与税の問題だけでなく、自身の所得税や住民税を節税できる「扶養控除」を活用できる可能性があります。
例えば、社会人が実家の親へ生活費を援助している場合や、単身赴任中で家族に生活費を送っている場合、一定の条件を満たせば、仕送りをしている側が扶養控除の適用を受けられ、税負担を軽減できます。
扶養控除の適用を受けるための4つの条件
扶養控除の適用を受けるには、次の4つの条件をすべて満たす必要があります。
①生計を同一にしていること。
別居していても、常に生活費を送金していれば認められます。
②扶養される親族の年間の合計所得金額が48万円以下であること。
アルバイト収入のみの場合、給与収入で103万円以下が目安です。
③青色申告者の事業専従者として給与を受け取っていないこと。
④白色申告者の事業専従者でないことです。
一人暮らしの大学生への仕送りは、これらの条件を満たす典型的な学生のケースです。
扶養控除を受けるための手続きと必要書類
扶養控除を受けるための手続きは、会社員であれば勤務先の年末調整で行います。
その際に提出する「給与所得者の扶養控除等(異動)申告書」の所定の欄に、扶養親族の情報を記載します。
個人事業主や年間の給与収入が2,000万円を超える方などは、確定申告で手続きを行います。
通常、送金の証明書などの添付は不要ですが、後日税務署から確認を求められる場合に備え、送金記録がわかる通帳などは保管しておきましょう。
相続や老後のお金の不安は「マネナビ」でまとめて整理
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マネナビのご相談事例
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ここでは、実際に寄せられたご相談事例の一部をご紹介します。
【事例1】相続準備の進め方が分からなかった60代女性のケース
親の相続について、何から手をつければいいのか分からず不安を感じていました。
マネナビの相談を通じて、相続の全体像や考えるべきことの順番が明確になり、落ち着いて家族と話し合うきっかけを作ることができました。
【事例2】相続予定の実家の扱いに悩んでいた50代男性のケース
将来相続する予定の実家について、売却、活用、保有のどれが最適か判断できずに悩んでいました。
不動産相続の基本的な考え方や手続きの流れを整理したことで、家族で話し合う際に検討すべきポイントが明確になりました。
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親の物忘れが増え、将来の認知症やそれに伴うお金の管理に大きな不安を感じていました。
相談では、認知症とお金に関する基本的な知識や、口座凍結などに備えて事前に考えられる対策について整理することができました。
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専門家と一緒に、老後資金を考える上での重要な視点や、長く安心して生活するための資産寿命の考え方を整理しました。
贈与税と仕送りに関するよくある質問
ここでは、贈与税と仕送りに関して多くの方が抱く疑問について、Q&A形式で解説します。
- Q子供の国民年金保険料や奨学金の返済を肩代わりした場合、贈与税はかかりますか?
- A
贈与税はかかりません。
社会通念上、学生である子への扶養義務の範囲内とみなされるためです。
親が支払った国民年金保険料は、贈与税の対象にはならず、支払った親自身の社会保険料控除の対象にできます。
- Q税務署には、どのようにして仕送りの事実がわかるのですか?
- A
税務署(国税庁)は、主に相続税調査の過程で、亡くなった方や相続人の過去の銀行口座の取引履歴を数年分確認します。
その際に不自然な多額の資金移動が見つかると、生前贈与がなかったかを調査するきっかけになります。
- Q仕送りをした場合、確定申告は必要ですか?
- A
生活費や教育費として非課税の範囲内で行われる仕送りについては、贈与税の確定申告は不要です。
ただし、年間110万円の基礎控除を超える贈与をした場合は申告が必要です。
扶養控除を受ける場合は年末調整や確定申告で手続きをします。
まとめ
扶養義務者間で、生活や教育に必要な金額をその都度送金する「仕送り」には、原則として贈与税はかかりません。
しかし、将来の分を一括で渡したり、受け取った側が貯蓄や投資に回したりすると、贈与とみなされ課税対象になる可能性があります。
後々のトラブルを避けるためにも、銀行振込で記録を残すなどの対策が重要です。
仕送りと合わせて、相続や老後資金などのお金の不安をまとめて整理したい場合は、専門家への相談も検討するとよいでしょう。
自分の場合はどう考える?
不安を整理したい方へ
記事を読んで「自分のケースではどうだろう?」と感じたら、状況を整理するところから始められます。