特養の費用は月額いくら?料金相場と負担を抑える減免制度を解説

  • 公開日:2026.07.18
  • 更新日:2026.07.23
戸松 亮治
執筆者

戸松 亮治

とまつ りょうじ

  • 相続診断士®

【専門分野・得意分野】相続対策、ライフプランニング
【自己紹介】株式会社鎌倉新書ライフパートナーズ 代表取締役。終活における大手金融機関とのアライアンスや新規事業立ち上げに従事。終活を進める高齢者と家族向けに、お金の不安を解消するセミナー・メディアコンテンツを企画、運営。

【所属会社名】株式会社鎌倉新書ライフパートナーズ
https://www.kamakura-life.co.jp/
監修者

北野 優

きたの ゆう

【自己紹介】株式会社エイジプラス 入居相談室室長。2009年に入居相談員のキャリアをスタートしてから、延べ2万人以上の相談を受ける。「人生100年時代 失敗しない介護施設選びと介護費用の目安」「相談事例から学ぶ!失敗しない有料老人ホーム探しのポイント」など老人ホーム選びに関する数々のセミナーにも登壇。7000施設以上の紹介数を誇る。

株式会社エイジプラス
https://ageplus.jp/
いい介護
https://e-nursingcare.com/

特養の費用は月額いくら?料金相場と負担を抑える減免制度を解説

特別養護老人ホーム(特養)の利用を検討する際、多くの方が気になるのは費用の問題です。
特養の料金は、月額5万円から15万円が一般的な目安とされていますが、個々の状況によって月々の負担額は変動します。
この記事では、特養の費用の内訳や料金相場、そして負担を軽減するための公的な減免制度について詳しく解説します。

特別養護老人ホーム(特養)の費用が安いと言われる理由

特別養護老人ホーム(特養)の費用が民間施設に比べて安い理由は、公的な施設であるためです。
国や地方自治体から補助金を受けて運営されており、営利を目的としていません。さらに、利用料の多くは介護保険で賄われるため、入居者の自己負担が抑えられる仕組みになっています。
介護保険制度については「介護保険制度の仕組みと利用方法」で詳しく紹介しています。

入居一時金のような初期費用も不要な点が、費用負担を軽減する大きな要因です。

【ひと目でわかる】特養の費用相場は月額5万円~15万円

特別養護老人ホーム(特養)で1ヶ月にかかる費用の総額は、平均して5万円から15万円程度が相場です。この金額は、要介護度、部屋のタイプ、所得に応じた自己負担割合によって大きく変動します。
あくまで1か月あたりの総費用の目安であり、個人の状況に合わせた具体的な内訳を確認することが重要です。
介護費用については「介護費用は平均いくら?」で詳しく紹介しています。

この金額には介護サービス費のほか、家賃や食費などが含まれます。

特養で毎月かかる費用の4つの内訳

特養で月々支払う費用は、主に4つの項目で構成されています。
その内訳は「施設サービス費」「居住費」「食費」「日常生活費」です。
これらを合算した金額が毎月の支払い額となります。

施設サービス費は介護保険が適用されますが、それ以外の費用は基本的に自己負担です。
ただし、所得に応じて負担を軽減する制度も用意されています。

①施設サービス費(介護保険サービス自己負担分)

施設サービス費は、食事や入浴の介助、排泄ケア、機能訓練といった介護サービスに対して発生する費用です。この費用には介護保険が適用され、所得に応じた自己負担割合(1〜3割)を支払います。

要介護度が高いほど費用は高くなる傾向にあり、その他、施設の体制や提供するサービスに応じたサービス加算が上乗せされることもあります。

②居住費(部屋代)

居住費は、施設の居室を利用するための費用で、一般的にいう家賃(室料)に相当します。
この費用は部屋のタイプによって異なり、「多床室」「従来型個室」「ユニット型個室的多床室」「ユニット型個室」の順に高くなるのが一般的です。
居住費は介護保険の適用外であるため、原則として全額自己負担ですが、所得の低い方は補助制度を利用できます。

③食費

食費は、施設で提供される1日3食の食事にかかる費用です。
栄養バランスが考慮された献立が提供され、利用者の健康状態に合わせて食事形態の変更も行われます。この食費は介護保険の適用外で、施設ごとに設定された金額を全額自己負担するのが原則です。

ただし、居住費と同様に、所得や資産が一定以下の場合は負担を軽減する制度の対象となります。

④日常生活費(実費負担)

日常生活費は、施設での生活に必要な個人的な費用を指し、その一部が実費負担となります。具体的な項目としては、ティッシュなどの消耗品費、理美容代、クリーニング代、レクリエーションの材料費、個人の希望による特別な食事などが含まれます。施設によって対象となる項目は異なるため、入居前に確認が必要です。

【条件別】特養の費用が変わる3つのポイント

特養の費用は、入居者全員が一律ではありません。
主に「部屋のタイプ」「要介護度」「所得に応じた自己負担割合」という3つのポイントによって、月々の支払額に違いが生まれます。

これらの条件を理解し、自分の場合はどの程度の費用になるのか、計算方法の基礎を知っておくことが、入居後の資金計画を立てる上で重要です。

①部屋のタイプ(多床室・個室)による費用の違い

特養の居住費は部屋のタイプによって大きく異なります。
最も安価なのは、複数のベッドが一部屋に設置された「多床室」です。
一方、プライバシーが確保される「従来型個室」や、少人数のグループで生活空間を共にする「ユニット型個室」は、居住費が高めに設定されています。

ユニット型は比較的新しい施設に多く、家庭的な雰囲気で生活できる点が特徴です。

②要介護度(3~5)による費用の違い

特養の入居対象は原則として要介護3以上の認定を受けた方であり、施設サービス費は要介護度によって異なります。要介護度が高いほど、より手厚い介護が必要となるため、介護サービス費の区分も高くなります。

具体的には、要介護3、要介護4、要介護5の順に段階的に費用が上がります。
介護度が重くなるにつれて、月々の自己負担額も増加する仕組みです。

③所得に応じた自己負担割合(1~3割)の違い

介護保険サービスの自己負担割合は、前年の所得に応じて1割、2割、3割のいずれかに決定されます。
合計所得金額が160万円未満の住民税非課税世帯の方は1割負担です。
課税世帯の場合、合計所得金額に応じて2割負担または3割負担となります。

この負担割合は、毎年「負担割合証」によって通知され、年収や収入の状況によって変動する可能性があります。

【タイプ別】特養の月額費用シミュレーション

特別養護老人ホーム(特養)の費用は、施設の形態や個人の状況によって変動します。
ここでは、要介護度や部屋のタイプ、所得に応じた負担割合といった条件別に、月額費用のシミュレーションを紹介します。
他の高齢者施設との比較や、入居後の生活設計の参考にしてください。

①多床室に入居した場合の費用例

特別養護老人ホーム(特養)の多床室に要介護3の方が自己負担1割で入居した場合、月額費用の目安は所得段階によって異なります。 第1段階では約2万円台から、第4段階では約9万円台が目安となります。内訳としては、介護サービス費、居住費、食費、その他日常生活費が含まれます。多床室は居住費が安く設定されているため、個室タイプに比べて総額を抑えることが可能です。

月額費用を構成する主な内訳は以下の通りです。

  • 介護サービス費: 要介護度や自己負担割合によって異なります。
  • 居住費: 居室タイプや所得段階によって異なり、多床室は個室より安く設定されています。
  • 食費: 施設に入居している日数に応じて発生し、所得や預貯金によって軽減される場合があります。
  • その他日常生活費: 理美容代や医療費、日用品の購入費など、介護保険の対象外となる実費負担の費用です。入居者の生活状況によって金額が変わります。

②従来型個室に入居した場合の費用例

要介護4の方が自己負担1割で従来型個室を利用する介護施設に入居する場合、月額費用は施設の種類によって異なりますが、特別養護老人ホームの場合、約11万2,540円が目安となります。 介護サービス費は要介護度によって変わり、居住費は居室タイプによって費用負担が変わるのが特徴です。 プライバシーが確保される従来型個室は、多床室よりも居住費が高くなる傾向があります。

③ユニット型個室に入居した場合の費用例

要介護5の方が自己負担1割でユニット型個室に入居した場合、月額費用の目安は約13万円から15万円程度です。
内訳は、介護サービス費が約2.4万円、居住費が約6万円、食費が約4.3万円、その他となります。
ユニット型は居住費が最も高額ですが、家庭的な環境で手厚いケアを受けられるメリットがあります。

特養の費用負担を軽減する公的な減免制度

特別養護老人ホーム(特養)では、費用負担を軽減するための公的な制度が複数用意されています。
これらの制度は、特に所得の低い方や資産が少ない方が施設を利用しやすくするための措置です。

負担限度額認定や高額介護サービス費などの補助制度を活用することで、経済的な負担を大きく減らせる可能性があります。
低所得者向けの減免制度について理解を深めましょう。

①所得や資産が少ない方の食費・居住費を軽減する「特定入居者介護サービス費」

「特定入所者介護サービス費(負担限度額認定)」は、所得や預貯金などの資産が一定の基準額を下回る方を対象に、食費と居住費の自己負担額に上限を設ける制度です。
所得に応じて第1段階から第3段階(①・②)に区分され、段階ごとに負担の上限額が異なります。
この制度を利用するには、市区町村への申請が必要です。

②自己負担額が高額になった場合に超過分が戻る「高額介護サービス費」

「高額介護サービス費」は、1ヶ月に支払った介護保険サービスの自己負担額の合計が、所得に応じて定められた上限額を超えた場合に、その超過分が払い戻される制度です。
これにより、自己負担が著しく高い金額になるのを防ぎます。
なお、世帯全員が住民税非課税の場合など、世帯分離をすることで上限額が下がり、負担を軽減できるケースもあります。
介護費用の節約方法については「高額介護サービス費や世帯分離の活用法」で詳しく紹介しています。

この制度は免除ではなく、一度支払った後に申請して還付を受けます。

③社会福祉法人が費用を軽減する制度

社会福祉法人が運営する特養では、独自の利用者負担軽減制度を設けている場合があります。
これは厚生労働省の通知に基づき、特に生計が困難であると認められた利用者に対して、介護サービス費の自己負担額や食費、居住費の一部を減額または免除するものです。
対象者の条件や軽減内容は法人によって異なるため、入居を検討している施設へ直接問い合わせる必要があります。

相続や介護のお金の不安は「マネナビ」でまとめて整理

特養の費用だけでなく、親の介護が始まると相続や実家の処分、自身の老後資金など、お金に関する悩みが複雑に絡み合ってきます。
貯金や年金だけで介護費用をまかなえるのか、といった不安を一人で抱え込んでしまう方も少なくありません。
お金の専門家相談窓口「マネナビ」では、こうした多岐にわたるお金の悩みを、一つひとつ整理しながら全体像を把握するお手伝いをしています。
老後の病気や介護リスクに備える方法については「老後に増える病気・介護リスクへの備え」で詳しく紹介しています。

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マネナビを活用したご相談事例

「マネナビ」では、相続、不動産、介護、老後資金など、人生の後半に訪れるお金の悩みについて、専門家が相談に応じています。
実際にどのような相談が寄せられ、どのように解決の糸口を見つけているのか、具体的な事例をご紹介します。

【事例①:50代(子供)】「入居一時金0円」と「前払い」の損得をシミュレーション

50代の男性が、要介護3の実母(80代)のために介護付き有料老人ホームを検討。施設から「入居時に数百万円払うプラン」と「一時金0円で月額が高いプラン」を提示され、どちらが得か悩んでいました。

ご相談では母親の平均余命や過去の資産データをもとに、入居期間ごとの総支払額を算出。結果、想定される入居期間であれば一時金を前払いした方が総額を約150万円抑えられること、償却(返還金)の仕組み上リスクが低いことを証明しました。客観的な数字を見たことで、納得して前払いプランを選択できました。

【事例②:60代】見落としがちな「上乗せ介護費」と医療費の予算枠をクリアに

60代の夫婦が、脳梗塞の後遺症がある夫の父親(80代)の施設探しをしていました。月額22万円の予算に収まる施設を見つけましたが、パンフレットに書かれた基本料金だけで足りるのか不安になりFPに相談しました。

ご相談では、月額の基本料金以外に「介護保険の自己負担分」「手厚い人員体制への上乗せ介護費」「日用品代」「外来医療費」などが毎月数万円上乗せされる現実を指摘。それらを踏まえて毎月26万円のリアルな収支計画を再構築し、父親の年金と貯蓄から無理なく生涯払い続けられる予算枠を明確にしました。

【事例③:60代】親の認知症に備えて、お金の管理で準備できることを整理できた

親の物忘れが増え、将来認知症になった場合のお金の管理について心配していました。
認知症と資産凍結のリスクに関する基本的な知識や、成年後見制度、家族信託といった事前の対策について情報を整理することができました。
これにより、万が一の事態に備えて今から準備できることが明確になり、精神的な安心につながりました。

特別養護老人ホーム(特養)の費用に関するよくある質問

ここでは、特別養護老人ホーム(特養)の費用に関して、多くの方が抱く疑問についてお答えします。
特養とはどのような施設で、費用はどのくらいかかるのか、具体的な質問を通じて理解を深めていきましょう。

Q
特養の費用は年金だけで払えますか?
A

部屋タイプや所得状況、適用される軽減制度によりますが、年金の範囲内で費用を支払えるケースは少なくありません。
特に多床室で負担限度額認定制度を利用した場合、年金収入だけで生活保護に頼らず生活している方は多くいます。
事前に施設や自治体に相談し、ご自身の年金額で支払いが可能かシミュレーションすることが重要です。

Q
特養に入居する際、入居一時金は必要ですか?
A

特別養護老人ホーム(特養)は、民間の有料老人ホームやサ高住(サービス付き高齢者向け住宅)とは異なり、入居時にまとまった初期費用(入居一時金など)を支払う必要はありません。
公的な施設であるため、高額な有料プランなどもなく、月々の利用料のみで入居できるのが大きな特徴です。

Q
途中で費用が払えなくなったら退去させられますか?
A

すぐに退去を求められることはほとんどありません。
まずは施設や市区町村の担当窓口に相談することが大切です。
負担限度額認定などの軽減制度の利用や、それでも支払いが困難な場合は生活保護の申請を検討します。

多くの特養では看取りまで対応しており、経済的な理由だけで一方的に退去を迫られるケースは稀です。

マネナビが選ばれる理由

相続や介護、老後のお金に関する悩みは、複雑でデリケートな問題です。
マネナビでは、相談者が安心して話せる環境を整え、一人ひとりの状況に合わせたサポートを提供することを大切にしています。
マネナビのサービス詳細については「お金の専門家相談窓口 マネナビ」で詳しく紹介しています。

いきなり結論を提示せず、考える順番を一緒に整理します

お金に関する悩みは、何から手をつければいいのか分からなくなりがちです。
マネナビでは、すぐに解決策や商品を提案するのではなく、まず相談者の状況や不安な点を丁寧にお伺いします。
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相談者の理解度やペースに合わせて対話を進め、不安や疑問をその場で解消しながら、落ち着いて考えられる環境を提供します。

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親の介護や相続の問題は、家族間でも話しにくいことがあります。
一人で抱え込んでいると、不安はますます大きくなってしまいます。
マネナビは、そうした悩みを安心して打ち明けられる最初の窓口です。

必要に応じて税理士や不動産の専門家へスムーズにつなぐことで、心の負担を和らげ、具体的な解決への道筋を一緒に探します。

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まとめ

特養の月額利用料は5万円から15万円が目安ですが、部屋のタイプ、要介護度、所得によって大きく変動します。
要介護1や要介護2の方は原則入所対象外ですが、特例的に認められる場合があります。
費用内訳は介護サービス費、居住費、食費、日常生活費から成り、居住費と食費は負担限度額認定制度で軽減できる可能性があります。

1日の費用に換算すると公的施設の安さが際立ちますが、年間の総額で見ると大きな出費です。
支払った費用の一部は医療費控除の対象となるため、確定申告で税金の控除を受けることも忘れないようにしましょう。

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