相続登記の義務化とは?過去の相続も対象!罰則と期限、手続きを解説

  • 公開日:2026.04.17
  • 更新日:2026.09.16
執筆者

吉原 武志

よしはら たけし

  • 3級ファイナンシャル・プランニング技能士

【専門分野・得意分野】生命保険・ライフプランニング
【自己紹介】業界歴14年の経験を活かし、お客様お一人おひとりの生活環境や将来のご希望を丁寧に伺い、寄り添った提案をいたします。

【所属会社名】株式会社鎌倉新書ライフパートナーズ
https://www.kamakura-life.co.jp/

相続登記の義務化とは?過去の相続も対象!罰則と期限、手続きを解説

「親から相続した不動産の名義をそのままにしているが、法律が変わって罰則があると聞いた」「いつまでに何をすればいいのかわからない」といった不安を抱えている方もいるかもしれません。
2024年4月1日から相続登記が義務化され、過去の相続も対象となるため、正しい知識と手続きが求められます。

この記事では、相続登記義務化の制度内容、対象者、罰則や期限について詳しく解説します。
この記事を読めば、ご自身の状況でいつまでに、どのような手続きを完了させれば過料を回避できるかを判断できるようになります。

記事を先読み

過去の相続も対象となる相続登記義務化の仕組み

登記申請の期限と違反した場合の罰則内容

遺産分割が難航した場合の救済措置となる新制度

相続登記の申請手続きの流れと費用の目安

そもそも相続登記の義務化とはどのような制度ですか?

相続登記の義務化とは、不動産を相続した人が、その事実を知った日から3年以内に法務局へ名義変更の登記申請をしなければならないという新しい制度です。
これまで任意だった手続きが法律上の義務となり、違反した場合には罰則も科されます。
この変更点をわかりやすく理解することが、適切に対応するための第一歩となります。
相続登記については「相続登記に関する記事一覧」で詳しく紹介しています。

2024年4月1日から始まった不動産の名義変更に関する新しいルール

2024年4月1日から改正された不動産登記法が施行され相続登記の申請が義務化されました。
この法改正以前は不動産を相続しても名義変更を行うかどうかは所有者の任意であり申請期限もありませんでした。
しかしこの施行日以降は不動産を相続した相続人は原則として相続の開始を知った日から3年以内に名義変更の手続きを行うことが法律で定められたルールとなっています。

最新の情報は法務省ページもご参照ください。
相続登記の申請義務化特設ページ 
相続登記の申請義務化に関するQ&A

なぜ今?相続登記が義務化された背景にある「所有者不明土地問題」

相続登記が義務化された大きな経緯として、「所有者不明土地問題」があります。
これは、登記簿を見ても所有者が誰か分からない、または分かっても連絡がつかない土地が全国的に増加した社会問題です。
所有者が不明な土地は、公共事業や再開発を進める際の大きな障害となるほか、災害復旧の遅延や、管理不全による周辺環境の悪化を招く原因にもなります。

この問題を解決し、土地の利用を円滑に進めるため、土地の所有者情報を最新の状態に保つことを目的に法改正が行われました。

義務化以前からあった相続登記を放置するデメリット

法改正以前から、相続登記をしないとどうなるかという問題はありました。
登記を放置する主なデメリットとして、まず不動産の売却や、それを担保にした融資が受けられない点が挙げられます。

また、時間が経つにつれて相続関係者が増え、いざ登記しようとした際には話し合いが困難になるリスクも高まります。最悪の場合、他の相続人が自身の法定相続分だけを第三者に売却してしまう可能性もあり、権利関係が複雑化する恐れがありました。

これらのデメリットに加え、これからは過料という罰則が科されるため、手続きへの理解がさらに重要になります。

義務化の対象になるのは誰で、いつまでに何をすべきですか?

相続登記義務化の対象となるのは、「不動産を相続した相続人」全員です。
これには、法改正以前に発生した相続も含まれます。
具体的にいつまでに、どのような手続きをすべきかについては、相続の発生時期や遺産分割協議の状況によって起算点や猶予期間が異なるため、自身のケースを正確に把握することが重要です。

要注意!過去に発生した相続も義務化の対象です【遡及適用】

今回の法改正で特に注意すべき点は、過去の相続も対象になる「遡及適用」があることです。
つまり、2024年4月1日の施行日より以前に発生した相続であっても、まだ相続登記が完了していない不動産はすべて義務化の対象となります。

何十年も前に亡くなった祖父母名義の土地なども例外ではありません。
過去の相続については、施行日から3年間の猶予期間が設けられており、2027年3月31日までに登記を申請する必要があります。

相続登記を申請すべき期限「3年」の起算点はいつ?

相続登記の申請義務の期限である「3年」がいつから始まるかは、主に2つのケースに分けられます。
一つ目は、相続の開始を知り、かつ自身がその不動産の所有権を取得したことを知った日から3年以内です。

二つ目は、遺産分割協議によって不動産を取得した場合で、この場合は協議が成立した日から3年以内となります。
この期間内に登記を済ませるか、後述する相続人申告登記を行う必要があります。

10万円以下の過料(罰則)が科されてしまう具体的なケース

正当な理由がないにもかかわらず、定められた3年の期限内に相続登記の申請を行わなかった場合、10万円以下の過料という罰則が科される可能性があります。
具体的には、法務局の登記官が登記義務違反を把握した後、相続人に対して登記を行うよう催告します。

この催告に応じず、なおも登記申請を怠った場合に、裁判所から過料の通知が送付される流れとなります。
単に期限を過ぎただけで直ちに過料が科されるわけではありませんが、催告を無視するなどの悪質な違反ケースが対象です。

遺産分割協議が難航…期限内に登記申請が間に合わない場合はどうすれば良いですか?

相続人が複数いる場合、遺産分割協議がまとまらず、3年の期限内に登記申請が間に合わないというケースも想定されます。
そのような状況への対策として、法改正と同時に新しい制度が設けられました。
この救済措置を活用することで、ひとまず登記義務を履行し、過料を避けることが可能です。

【まずは義務を履行】新設された救済措置「相続人申告登記」とは

相続人申告登記とは、遺産分割協議がまとまらない場合でも、相続人が単独で法務局に対し「自分がこの不動産の相続人の一人である」と申し出ることで、相続登記の申請義務を果たしたとみなされる新しい制度です。
この申告登記は、あくまで一時的な措置であり、権利関係を確定させるものではありませんが、期限内に申し出ることで過料のリスクを回避できます。

相続人申告登記のメリットと手続きの進め方

相続人申告登記の最大のメリットは、手続きが簡易である点です。
遺産分割協議書や他の相続人の同意は不要で、申出をする相続人が単独で申請できます。
必要書類も、申出書と申出人が被相続人の相続人であることがわかる戸籍謄本など比較的少なく、登録免許税もかかりません。

手続きのやり方としては、対象不動産の所在地を管轄する法務局に必要書類を提出するだけで完了し、手軽に義務を履行できるのが特徴です。

【注意点】
相続人申告登記による義務の履行は、申出をした相続人本人についてのみ効力が生じます。相続人が複数いる場合、一人が申告登記を行っても、他の相続人の申請義務が自動的に消えるわけではありません。
他の相続人の分もまとめて申し出ることは可能ですが、その場合は代理人としてではなく、各相続人の氏名・住所などをそれぞれ記載して申し出る必要があります。相続人が複数いる場合は、対象となる相続人全員が申告済みかどうかを確認しておきましょう。

相続人申告登記だけでは解決しない?利用上の注意点

相続人申告登記は便利な制度ですが、問題点もあります。
これは最終的な登記ではないため、不動産の権利関係を確定させるものではなく、不動産を売却したり、担保に設定したりすることはできません。
あくまで義務履行のための一時的な措置というデメリットを理解しておく必要があります。

この申告登記を行った後、遺産分割協議が成立したら、その日から3年以内に改めて正式な相続登記(所有権移転登記)を申請しなければなりません。

手続きの前に確認!相続で本当に解決すべきは「考える順番」の整理

遺産分割協議が難航する背景には、単なる法律問題だけでなく、家族間の感情的な対立や、不動産を今後どうしたいかという将来設計の不一致など、根深い原因が隠れていることが少なくありません。
手続きを急ぐ前に、まずは「何が問題なのか」「どこから考えるべきか」を整理することが重要です。
専門家への相談は、単に手続きを代行するだけでなく、こうした複雑な状況を整理し、話し合いの方向性を定める手助けとなります。

相続登記とあわせて知っておきたい関連法改正はありますか?

今回の不動産登記法や民法の改正では、相続登記の義務化以外にも私たちの生活に関わる重要な変更点がいくつか含まれています。
特に、不動産を所有している場合は、登記名義人の住所変更登記の義務化や、不要な土地を手放すための新制度について理解しておくことが、将来のトラブルを未然に防ぐことにつながります。

2026年からスタートする住所・氏名変更登記の義務化

2026年4月1日から、不動産所有者の住所や氏名の変更登記も義務化されます。
引越しや結婚などで住所・氏名が変わった場合、その変更日から2年以内に登記申請をしなければなりません。

この義務化については、正当な理由なく怠った場合、5万円以下の過料が科される可能性があります。
相続登記とあわせて、所有不動産に関する情報は常に最新の状態に保つ必要があると認識しておくことが大切です。

相続した不要な土地を国に引き取ってもらう「相続土地国庫帰属制度」

活用が難しく、売却も困難な土地を相続してしまった場合の対策として、「相続土地国庫帰属制度」が2023年4月27日から始まっています。
この制度は、一定の要件を満たす土地を、審査を経た上で国に引き取ってもらうものです。

ただし、土地に建物がないこと、境界が明確であることなどの条件があり、申請時には審査手数料と10年分の土地管理費相当額の負担金を納付する必要があります。
相続した土地の管理に困っている場合に有効な選択肢の一つです。

相続登記の手続きは、具体的にどう進めればいいですか?

相続登記の手続きを自分で行う場合、大まかな流れや必要書類、費用を把握しておくことが大切です。
申請のやり方は一つではなく、遺言書の有無や相続人の状況によって準備するものが異なります。

ここでは、具体的な手続きのステップや費用について解説します。

相続登記申請の全体像がわかる4つのステップ

相続登記の申請手続きは、一般的に以下の4つのステップで進みます。

  1. 必要書類の収集:被相続人の出生から死亡までの戸籍謄本や、相続人全員の戸籍謄本、固定資産評価証明書などを収集します。
  2. 登記申請書の作成:法務局のウェブサイトにある記載例を参考に、不動産の情報を正確に記入して申請書を作成します。
  3. 法務局への申請:作成した申請書と収集した書類を、不動産の所在地を管轄する法務局に提出します。郵送やオンラインでの申請も可能です。
  4. 登記完了:申請後、1〜2週間ほどで登記が完了し、登記識別情報通知書(権利証に相当するもの)が交付されます。

遺言書の有無で変わる!相続登記の必要書類リスト

相続登記の必要書類は、遺言書の有無や遺産分割の方法によって異なります。

  • 共通で必要な主な書類
  • 被相続人の出生から死亡までの連続した戸籍(除籍、改製原戸籍)謄本
  • 相続人全員の現在の戸籍謄本
  • 不動産を取得する相続人の住民票の写し
  • 固定資産評価証明書
  • 遺産分割協議による場合
  • 遺産分割協議書
  • 相続人全員の印鑑証明書
  • 遺言書(遺贈を含む)による場合
  • 遺言書(自筆証書遺言の場合は家庭裁判所の検認が必要な場合があります)

自分で手続きする場合の費用内訳(登録免許税など)

自分で相続登記の手続きをする場合にかかる主な費用は、登録免許税と書類の取得費用です。
登録免許税は、登記を申請する際に国に納める税金で、計算式は「不動産の固定資産税評価額×0.4%」となります。
例えば、評価額が1,000万円の土地であれば、登録免許税は4万円です。

その他、戸籍謄本(1通450円)や住民票(1通300円程度)などの取得実費、法務局への交通費や郵送費が必要となります。

【注意点】
相続登記を促進する目的で、一定の要件を満たす土地の相続登記については、登録免許税が免除される措置が設けられています(免税期間:2027年3月31日まで)。 具体的には、①相続により土地を取得した人が相続登記をしないまま亡くなった場合の、その人名義への相続登記(数次相続における中間の登記)、②不動産の価額が100万円以下の土地に係る相続登記、のいずれかに該当する場合が対象です。 該当するかどうかの判断は個別の事情によるため、申請前に法務局の窓口や司法書士に確認することをおすすめします。

司法書士への依頼費用と相談すべきケースの見極め方

相続登記は司法書士に依頼することも可能です。その場合の費用は、登録免許税などの実費に加えて、司法書士への報酬が必要となります。報酬額は事案の難易度や地域によって異なりますが、日本司法書士会連合会が2024年(令和6年)3月に実施した報酬アンケート調査では、一般的な相続登記(不動産の名義変更)1件あたりの報酬の平均額が公表されています(具体的な金額や調査年は同連合会の公表資料でご確認ください)。事案によっては、戸籍収集の範囲や相続人の数、遺産分割協議の複雑さなどにより、30万円から50万円程度になる可能性もあります。

特に、相続人が多い、相続関係が複雑で戸籍の収集が大変、遺産分割協議が難航している、平日に役所や法務局へ行く時間が取れない、といったケースでは、専門家である司法書士への相談を検討するのが賢明です。

日本司法書士会連合会 2024年(令和6年)3月 報酬アンケート調査

相続登記の義務化、何から手をつけるべきか迷ったら

相続登記の義務化について理解は深まったものの、「自分の場合は具体的にどう動けばいいのか」「誰に相談すれば最適な解決策が見つかるのか」と迷うこともあるでしょう。
特に相続関係が複雑な場合や、何をすべきかの優先順位がつけられない時は、一人で抱え込まずに専門的な知見を持つ窓口に相談することが重要です。
相続に関するお悩みは「相続に関する専門家への無料相談」で詳しく紹介しています。

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相続登記の義務化についてよくあるご質問

ここでは、相続登記の義務化について、特に多く寄せられる質問とその回答をまとめました。
個別の疑問を解消し、より深く制度を理解するためにお役立てください。

Q
過料を免除される「正当な理由」とは、具体的にどのような事情ですか?
A

申請をしなかったことに正当な理由があれば過料は科されません。
具体的には、相続人が極めて多数にのぼり、戸籍謄本等の資料収集や他の相続人の把握に多くの時間を要するケース、
遺言の有効性や遺産の範囲等について争いがあるケース、
申請義務を負う相続人自身に重病等の事情がある場合などが想定されています。

なお、これらの事情に該当するように見える場合でも、正当な理由として認められるかどうかは、登記官が個別の事案ごとに判断します。該当すると思われる場合は、自己判断で放置せず、法務局への相談や、催告を受けた際の速やかな申し出など、適切な対応を取ることが重要です。

Q
相続放棄をした場合でも相続登記の義務はありますか?
A

相続登記は2024年4月1日から義務化されています。ただし、家庭裁判所で正式に相続放棄の手続きを完了した人は、法律上、初めから相続人ではなかったとみなされるため、不動産を相続する権利も義務もなく、相続登記の申請義務を負うことはありません。

Q
複数の相続人がいる場合、誰が相続登記の手続きをすべきですか?
A

不動産を取得した人が手続きをするのが一般的です。
例えば、遺産分割協議の結果、特定の相続人が不動産を取得した場合は、その人が申請義務者となります。
法定相続分どおりに共有で登記する場合は、共有者となる相続人のうちの一人が、他の共有者の分も含めて単独で申請することも可能です。

なぜ「マネナビ」が相談先に選ばれるのか?3つの理由を解説

相続に関する相談先は数多くありますが、その中でも「マネナビ」が選ばれているのには明確な理由があります。
手続きの専門家につなぐ前の「整理」のステップを重視し、相談者の立場に寄り添ったサポートを提供している点が大きな特徴です。

理由1:手続きの前に「考える順番」を整え、不安の根本原因を解消するから

一つ目の理由は、手続きという手段に入る前に、まず「考える順番」を整えることを重視している点です。
相続の問題は、登記や税金といった手続き論だけでなく、「この不動産を将来どうしたいのか」「家族間でどのような合意形成が必要か」といった根本的な課題を解決することが不可欠です。

マネナビでは、こうした不安の根本原因にアプローチし、本質的な課題解決をサポートします。

理由2:専門用語を避け、中立的な立場で最適な選択肢を一緒に考えてくれるから

二つ目の理由は、相談者と同じ目線に立ったコミュニケーションを徹底している点です。
相続の話は専門用語が多く、難解に感じがちですが、マネナビではできるだけ平易な言葉で説明し、相談者が納得できるまで対話を重ねます。
特定のサービスや結論を押し付けることなく、あくまで中立的な立場から、相談者の状況にとって最適な選択肢は何かを一緒に考えます。

理由3:必要に応じて行政書士や税理士など最適な専門家へつないでくれるから

三つ目の理由は、信頼できる専門家ネットワークを持っている点です。
状況整理の結果、具体的な手続きが必要になった場合は、その内容に応じて最適な専門家を紹介します。

例えば、遺言作成や執行、遺産分割協議であれば行政書士、相続税の申告であれば税理士といった形で、相談者が自ら探す手間なく、課題解決に直結する専門家へとスムーズにつなぐ役割を担っています。

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まとめ

相続登記の義務化は、不動産を所有するすべての人に関わる重要な法改正です。
最後に、この記事の要点をまとめます。
2024年4月1日から相続登記が義務化され、過去の相続も対象となります。

期限は原則として相続を知った日から3年以内で、違反すると10万円以下の過料が科される可能性があります。遺産分割協議が間に合わない場合でも、「相続人申告登記」という簡易な手続きで、ひとまず義務を履行できます。

手続きが複雑であったり、何から手をつけて良いか分からなかったりする場合は、司法書士などの専門家への相談が有効な解決策となります。

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