土地の贈与税がかからない方法|非課税の特例や相続との比較を解説
長谷川 毅
はせがわ たけし
- AFP(日本FP協会認定)
- 証券外務員二種
- 住宅ローンアドバイザー
【専門分野・得意分野】生命保険・ライフプランニング・相続対策
【自己紹介】保険業界22年。豊富な経験を活かし、最適なライフプランニングから円滑な相続対策まで幅広く対応いたします。
https://www.kamakura-life.co.jp/
土地の贈与税がかからない方法|非課税の特例や相続との比較を解説
親や祖父母から土地を譲り受ける際、高額な贈与税が心配になる方は少なくありません。
しかし、税金の負担をゼロにしたり、軽減したりできる非課税制度や特例が存在します。
この記事では、土地の贈与税がかからなくなる具体的な方法を4つ解説します。
また、贈与税以外の費用や、将来の相続も見据えてどちらが有利になるかについても比較検討し、最適な選択ができるよう解説します。
そもそも土地を贈与すると税金はかかる?贈与税の基本を解説
個人から土地などの財産をもらった際には、原則として贈与税がかかります。
贈与税は、1年間(1月1日~12月31日)にもらった財産の合計額から基礎控除額110万円を差し引いた金額に対して課税される仕組みです。
したがって、土地の評価額が110万円を超えている場合、原則として贈与税の申告と納税が必要になります。
土地は評価額が高額になりやすいため、対策をしないと多額の税金が発生する可能性があります。
土地の贈与税が非課税になる4つの特例制度
土地の贈与にかかる税金の負担を軽減するには、国の定めた特例制度を活用するのが有効な方法です。
これらの制度を適用することで、高額な贈与税を無税にできる可能性があります。
代表的な制度として「暦年贈与の基礎控除」「相続時精算課税制度」「贈与税の配偶者控除」「住宅取得等資金贈与の特例」の4つが挙げられます。
それぞれの制度には適用要件があるため、自身の状況に合ったものを選択することが重要です。

①暦年贈与:毎年110万円までの基礎控除を活用する
暦年贈与は、年間110万円までの贈与であれば贈与税がかからない「暦年課税」の基礎控除枠を利用する方法です。
この非課税枠は受贈者一人あたりの金額であるため、複数人から贈与を受けても合計110万円までなら贈与税はかかりません。
土地のように評価額が大きい財産の場合、土地全体を一度に贈与するのではなく、持分を毎年110万円の範囲で少しずつ移転していく方法が考えられます。
ただし、この方法では名義変更が完了するまでに長期間を要するデメリットがあります。
また、毎年同じ時期に同じ金額を贈与すると、計画的な一つの贈与とみなされ、総額に対して課税されるリスクがあるため注意が必要です。
②相続時精算課税制度:最大2,500万円の特別控除を利用する
相続時精算課税制度は、原則として60歳以上の親や祖父母から18歳以上の子や孫へ贈与する際に選択できる制度です。
この制度を利用すると、最大2,500万円までの贈与が非課税となります。
2,500万円を超えた部分については、一律20%の贈与税が課されます。
2024年からは制度が改正され、この2,500万円の特別控除とは別に、年間110万円の基礎控除が創設されました。
この基礎控除分は贈与税の対象外となり、将来の相続財産にも加算されません。
例えば、評価額が800万円の土地を贈与する場合でも、この制度を使えば非課税で手続きを進められます。
③贈与税の配偶者控除(おしどり贈与):夫婦間で最大2,000万円を控除する
贈与税の配偶者控除は、婚姻期間が20年以上の夫婦間で、居住用の不動産やその取得資金を贈与した場合に利用できる特例制度です。
通称「おしどり贈与」とも呼ばれます。
この特例を適用すると、暦年贈与の基礎控除110万円に加えて、最大2,000万円までが非課税となります。
つまり、合計で最大2,110万円までの贈与が贈与税0円で行えます。
例えば、評価額が2,300万円の土地と家屋を贈与する場合、通常であれば高額な税金がかかりますが、この特例を使えば課税対象額を190万円まで圧縮することが可能です。
④住宅取得等資金贈与の特例:土地の購入資金を非課税で援助する
住宅取得等資金贈与の特例は、親や祖父母から住宅用の家を取得するための資金援助を受けた場合に、一定額まで贈与税が非課税となる制度です。
この特例は土地そのものの贈与ではなく、土地や家屋を購入するための「資金」の贈与が対象です。
非課税限度額は、省エネ等住宅の場合は1,000万円、それ以外の住宅の場合は500万円です。
土地付きの注文住宅を建てる場合や、建売住宅を購入する場合など、土地と家を同時に取得する際の購入資金として活用できます。
この特例は、暦年贈与や相続時精算課税制度と併用することも可能です。
注意!「名義変更だけ」「格安売買」は贈与税の対象になる可能性
贈与税を回避しようとして、単純に土地の名義を子供に変更したり、親子間で極端に安い価格で売買したりすると、税務署から実質的な贈与とみなされ、かえってペナルティを受ける可能性があります。
特に親子や親族間での不動産取引は、税務署の調査対象になりやすい傾向があります。
形式的な手続きだけで実態が伴わない場合、意図せず脱税を指摘されるリスクもあるため、安易な自己判断は避けるべきです。
①親子間の土地売買で「みなし贈与」と判断されるケース
親子間や親族間で土地を売買する際、その取引価格が時価と比べて著しく低い場合、「みなし贈与」として扱われることがあります。みなし贈与と判断されると、時価と売買価格との差額分が贈与とみなされ、贈与税の課税対象となります。例えば、時価3,000万円の土地を息子に500万円で売却した場合、差額の2,500万円が父親から息子への贈与と認定され、高額な贈与税が発生する可能性があります。
「著しく低い価額の対価」の明確な判定基準は定められておらず、個々の具体的事案に基づき社会通念に従って合理的に判定されることとなります。
②実質的な贈与と見なされる単純な名義変更
売買のような対価の支払いを伴わず、単に土地の所有権の名義を親から子へ変更する手続きは、法律上「贈与」にあたります。たとえ売買契約書を作成していたとしても、実際にお金のやり取りがなければ、それは実質的な贈与と判断されます。
登記上の名義を変更しただけでは、贈与税の課税を逃れることはできません。
税務署は登記情報だけでなく、お金の流れも確認するため、実態に基づいた申告が必要です。
無償での名義変更は、土地を贈与したことと同じであり、評価額に応じた贈与税の課税対象となります。
贈与税以外にも必要!土地の贈与で発生する2つの税金
土地の贈与手続きを進める際には、贈与税が非課税になったとしても、それ以外の税金が発生することに注意が必要です。
特に「不動産取得税」と「登録免許税」は、不動産の名義変更に伴って必ず考慮すべきコストです。
これらの税金は、贈与の手続きを進める中で納付する必要があります。
また、土地を所有している限り、毎年固定資産税も課されるため、贈与を受ける側は将来的な税負担も理解しておくことが重要です。
①不動産取得税:土地を取得したときに課される税金
不動産取得税は、売買や贈与などによって不動産を取得した際に、取得者に対して一度だけ課される都道府県税です。
相続による取得の場合は非課税ですが、生前贈与の場合は課税対象となります。
税額は、原則として土地の固定資産税評価額に税率を乗じて算出します。
土地の税率は本則4%ですが、2027年3月31日までは3%に軽減されています。
さらに、宅地の場合は評価額が2分の1になる特例もあり、税負担はさらに軽くなります。
贈与が成立した後、都道府県から送付される納税通知書を使って納付します。
②登録免許税:土地の名義変更手続きで納める税金
登録免許税は、不動産の所有権移転登記(名義変更)を行う際に、法務局へ納める国税です。
贈与によって土地の所有者が変わったことを公的に示すために、この登記手続きは必須です。
登録免許税の額は、土地の固定資産税評価額に所定の税率を乗じて計算します。
この税率は取得原因によって異なり、贈与の場合は2%、相続の場合は0.4%です。
生前贈与は相続に比べて税率が5倍高く設定されており、見過ごせないコストの一つです。
「生前贈与」と「相続」、土地をもらうならどちらがお得?
土地を親から引き継ぐ方法として「生前贈与」と「相続」の2つがありますが、どちらがお得になるかは一概には言えません。
判断するには、贈与税や相続税といった税金の基礎控除額の違いや、不動産取得税・登録免許税の税率差など、様々な要素を総合的に比較検討する必要があります。
また、個人の資産状況や家族構成、土地の評価額によっても有利な方法は異なります。
将来的な税負担までシミュレーションし、最適な選択をすることが重要です。
①税金の基礎控除額の違いを比較する
贈与税と相続税では、税金がかからなくなる基礎控除額に大きな違いがあります。
贈与税の基礎控除は、暦年贈与の場合で年間110万円です。
一方、相続税の基礎控除額は「3,000万円+(600万円×法定相続人の数)」と、はるかに大きく設定されています。
例えば、相続人が配偶者と子供2人の合計3人であれば、基礎控除額は4,800万円です。
相続財産の総額がこの基礎控除額を下回る場合、相続税はかかりません。
そのため、そもそも相続税が発生しない家庭であれば、手数料や税金のかかる生前贈与を急いで行う必要はないかもしれません。
②不動産取得税・登録免許税の税率の違いを把握する
土地の名義変更にかかる税金も、生前贈与と相続で大きく異なります。
まず、不動産取得税は、生前贈与の場合は課税対象となりますが、相続によって土地を取得した場合は非課税です。この税金の有無は、大きなコスト差を生む要因となります。
また、名義変更の登記手続きに必要な登録免許税も、税率に5倍の差があります。
生前贈与の税率が固定資産税評価額の2%であるのに対し、相続の場合は0.4%に軽減されます。
これらの税負担を考慮すると、手続きにかかるコスト面では相続の方が有利であると言えます。
③相続で適用できる「小規模宅地等の特例」とは
相続の際に利用できる可能性がある節税制度の一つに「小規模宅地等の特例」があります。この特例は、亡くなった方が住んでいた土地や事業をしていた土地を、配偶者や同居の親族などが相続した場合に、一定の面積まで土地の評価額を最大80%減額できるというものです。土地の評価額を大幅に圧縮できるため、相続税の負担を軽減できる可能性があります。
この特例は、相続時精算課税に係る贈与により取得した宅地等には適用できないとされています。なお、相続開始前3年以内の贈与は相続財産に加算されるルールがありましたが、税制改正により2024年以降の贈与から段階的に「7年」へと延長されることになりました。
土地の贈与や相続の悩みは専門家への無料相談で解決
土地の贈与や相続には、これまで見てきたように複雑な税金のルールや特例が絡み合います。
どの制度を利用するのが最も有利なのか、そもそも生前贈与と相続のどちらを選ぶべきなのかは、個々の財産状況や家族構成によって結論が異なります。
誤った判断は、思わぬ高額な税負担につながるリスクもあります。
そのため、手続きを進める前に、税理士や不動産に詳しい専門家に相談することが非常に重要です。
専門家であれば、現状を整理し、法的な要件や税金のシミュレーションを踏まえた上で、最適な選択肢を提案してくれます。
「マネナビ」のようなサービスでは、相続や不動産の専門家へ無料で相談できるため、まずは情報収集から始めてみるのも一つの方法です。
土地の贈与税に関するよくある質問
土地の贈与税について、多くの方が疑問に思う点をQ&A形式でまとめました。
- Q親子間で土地を贈与する場合、契約書は必要ですか?
- A
法律上の義務ではありませんが、贈与契約書の作成を強く推奨します。
口約束でも贈与は成立しますが、契約書を作成することで「いつ、誰から誰へ、どの土地を贈与したか」が明確になります。
これは将来の親族間トラブルを防ぐだけでなく、税務署に対して贈与の事実を証明する客観的な証拠にもなります。
- Q土地の評価額はどのように調べればよいですか?
- A
贈与税を計算する際の土地の評価額は、主に国税庁が定める「路線価」を用いて算出します。
路線価は国税庁のホームページで確認できます。
路線価が設定されていない地域では、固定資産税評価額に一定の倍率を乗じる「倍率方式」で計算します。例えば評価額が1億を超えるような土地は税額も大きくなるため、正確な評価が重要です。
- Q贈与税の申告はいつ、どのように行えばよいですか?
- A
贈与税の申告と納税は、土地をもらった人(受贈者)が、贈与を受けた年の翌年2月1日から3月15日までの期間に行います。
申告書は、受贈者の住所地を管轄する税務署に提出します。
提出方法は、税務署の窓口への持参や郵送のほか、国税電子申告・納税システム(e-Tax)を利用したオンラインでの手続きも可能です。
まとめ
土地の贈与税は、特例制度をうまく活用することで非課税にできる可能性があります。
代表的な方法には「暦年贈与」や「相続時精算課税制度」、「配偶者控除」などがあり、それぞれ適用要件が異なります。
ただし、贈与税がゼロになっても不動産取得税や登録免許税といった別の費用が発生します。
また、安易な名義変更や個人間売買は「みなし贈与」と判断されるリスクを伴います。
生前贈与と相続のどちらが有利かは、基礎控除額や特例の有無など、様々な観点から総合的に判断することが不可欠です。
最適な方法は個々の状況により異なるため、専門家へ相談することをおすすめします。
自分の場合はどう考える?
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