介護保険制度の仕組みと利用方法|自己負担額と「介護認定」を受ける手順

  • 公開日:2026.04.17
  • 更新日:2026.04.26
漢那 彩加
執筆者

漢那 彩加

かんな あやか

  • 相続診断士®
  • 3級ファイナンシャル・プランニング技能士

【専門分野・得意分野】相続・生命保険
【自己紹介】相続と終活についての窓口スタッフとして、経験豊富な個別相談経験を活かし、お客様の心に寄り添う提案を大切にします。

【所属会社名】株式会社鎌倉新書ライフパートナーズ
https://www.kamakura-life.co.jp/

【2026年最新】介護保険制度の仕組みと利用方法|自己負担額と「介護認定」を受ける手順

「親の足腰が急に弱くなった。介護保険ってどうやって使うの?」「市役所に申請すれば、すぐサービスが受けられる?」「収入によって自己負担が3割になるって聞いたけれど、うちは大丈夫?」

介護は、ある日突然、予期せぬタイミングで始まります。何をすればいいか分からず、とりあえず近所のデイサービスに電話をする……。実は、これは「最もやってはいけない順序」です。

日本の介護保険制度は、申請して「認定」を受けなければ、1円の給付も受けられません。さらに、2024年の制度改正を経て、2026年現在は自己負担割合の判定基準やデジタル申請の導入など、知っておくべき「新常識」がいくつも存在します。

本記事では、介護の入り口で迷わないために、制度の仕組みから自己負担額の決まり方、そして「介護認定」をスムーズに受けるための全手順を、詳しく解説します。


介護保険制度の「仕組み」:40歳から始まる支え合い

介護保険は、国や自治体が運営する社会保険制度です。私たちが40歳になった月から保険料を支払い始め、いざ介護が必要になったときに、その費用の7割〜9割を国が負担してくれるという仕組みです。

①利用できるのは誰?(第1号と第2号の違い)

介護保険を使える人には、大きく分けて2つの区分があります。

  • 第1号被保険者(65歳以上): 原因を問わず、介護や支援が必要になったら利用可能です。
  • 第2号被保険者(40歳〜64歳): 若年性認知症や末期がんなど、国が指定する「16種類の特定疾病」が原因である場合に限り、利用可能です。

②2026年の介護保険を取り巻く環境

2026年現在、少子高齢化の加速により介護職員の不足が深刻化しています。そのため、政府は「自立支援(できるだけ自宅で元気に過ごす)」を強力に推進しています。これが「認定調査」の判定にも影響を与えており、正しく状況を伝えないと「非該当(サービス利用不可)」とされてしまうリスクも高まっています。

③まずは「地域包括支援センター」に相談

役所に行く前に、まず頼るべきは地域の「地域包括支援センター(愛称:お達者窓口など自治体により様々)」です。ここは、介護・医療・福祉の専門家が揃う「介護界のコンシェルジュ」です。

2026年現在、制度の複雑化により、いきなり申請するよりも、事前にセンターの職員に現在の困りごとを相談し、「申請のタイミング」や「見通し」を立ててもらうことで、認定後のサービス利用が圧倒的にスムーズになります。


気になる「自己負担額」:資産状況のチェックが厳格化

介護保険サービスを利用した際、私たちが窓口で支払う金額は、その人の「合計所得金額」によって決まります。

①所得+「資産」で見られる2026年の基準

合計所得金額による1〜3割負担の判定に加え、施設入居時などの補助(補足給付)においては、預貯金額などの「資産」が厳格にチェックされるのが2026年のスタンダードです。

  • 1割負担: 一般的な所得の方(単身者の場合、年金収入+その他の所得が280万円未満)。
  • 2割・3割負担: 一定以上の現役並み所得がある方。
    ※2024年の法改正以降、2割負担の対象範囲を拡大する議論が続いており、2026年現在は資産状況もより厳格にチェックされる傾向にあります。

【注意点】「単に年金が少ないから安心」ではなく、親の口座にある程度のまとまった貯蓄がある場合、窓口負担は1割でも、施設での「食費・居住費」が全額自己負担になる可能性があります。

②支払いの「天井」を決める「高額介護サービス費」

月々の支払いが青天井になることはありません。

  • 上限額: 一般的な世帯であれば、月額 44,400円 が上限となります。これを超えた分は、申請すれば後から払い戻されます。
  • 低所得世帯の配慮: 住民税非課税世帯などの場合は、上限が 24,600円15,000円 にまで引き下げられます。

【重要】介護認定を受けるための「5ステップ」

介護保険を使うためには、市区町村から「この人はどのくらい介護が必要か」というお墨付き(認定)をもらう必要があります。

ステップ1:申請(窓口またはオンライン)

市区町村の介護保険窓口(または地域包括支援センター)へ申請書を提出します。

  • 2026年の新常識: マイナポータルを利用した「オンライン申請」が全国の自治体で普及しています。仕事で役所に行けない家族でも、夜間や週末にスマホから申請が可能です。
  • 必要なもの: 介護保険被保険者証(65歳以上の方に届いているピンクや緑のカード)、主治医の情報。

ステップ2:訪問調査(認定調査)

市区町村の調査員が自宅(または病院)を訪問し、本人の心身の状態を確認します。

調査員が見ているのは「動作ができるか」だけでなく「安全に、不自然でなく、介助なしで継続できるか」です。調査員の前で、本人が「無理をして元気に振る舞ってしまう」ことがよくあります。

【ポイント】調査には必ず家族が立ち会い、「普段の、一番困っている状態」を正確に伝えてください。必要なら、困っている行動を事前にメモしたり、動画で撮影しておくと確実です。

ステップ3:主治医の意見書

市区町村が直接、本人の主治医に病状や心身の状態についての意見書を依頼します。

医師に「介護保険の意見書をお願いします」とだけ伝えても、医師は日常の「生活の困りごと」までは把握していません。「立ち上がりに苦労している」「夜間の徘徊がある」など、具体的な困りごとをメモにして、医師に渡すことも有効です

【ポイント】しばらく病院に行っていない場合、医師も現在の状況が分かりません。申請前に一度受診し、介護保険を使いたい旨を伝えておくのがスムーズです。

ステップ4:審査判定(介護認定審査会)

調査結果と医師の意見書に基づき、保健・医療・福祉の専門家が「どのくらいの介護時間が必要か」を判定します。

ステップ5:認定結果の通知

申請から原則30日以内に、認定結果(介護度)が書かれた新しい保険証が届きます。


「要支援」と「要介護」の違い:7段階のランク

認定結果は、軽い方から順に以下の7段階(+非該当)に分かれます。

ランク状態の目安受けられる主なサービス
要支援1日常生活はほぼ自立。家事の一部(掃除・買い物等)に支援が必要介護予防訪問、週1〜2回のデイケア、手すりの設置など
要支援2立ち上がりや歩行にふらつきがある。身の回りのことに支援が必要上記に加え、週2回程度のデイサービス、歩行器のレンタルなど
要介護1日日常生活に部分的な介助が必要。立ち上がりに支えがいる訪問介護(ヘルパー)、デイサービス、福祉用具(車椅子除く)レンタル
要介護2自力での歩行や立ち上がりが困難。排泄や入浴に介助が必要上記に加え、車椅子のレンタル、ショートステイの利用など
要介護3自力で立ち上がれない。排泄・入産・着替え等に全面的な介助が必要特別養護老人ホーム(特養)への入居申し込みが可能
要介護4日常生活の全般において能力が低下。常に介助が必要な状態24時間の訪問介護、リフト等の大型用具レンタル、施設入居
要介護5生活全般に介助が必要。意思疎通が困難で、寝たきりの状態枠をフルに活用した手厚い訪問ケア、または専門的な施設ケア

認定が下りた後にすること:ケアマネジャーは「最強の味方」

認定結果が届いたら、次は「どう使うか」を決めます。ここで登場するのが、介護の司令塔「ケアマネジャー(介護支援専門員)」です。

ケアマネジャーは、あなたと親の生活を支えるパートナーです。「相性が合わない」「専門分野が違う」と感じたら、いつでも変更可能です。

  1. 居宅介護支援事業所を選ぶ: ケアマネジャーが所属する事務所を選び、契約します。
  2. ケアプランの作成: ケアマネジャーが本人の希望や家族の状況を聞き取り、どのサービスを週に何回使うかという計画書(ケアプラン)を作ります。
  3. サービス開始: 計画に基づき、ヘルパーの訪問やデイサービスへの通所が始まります。

【ポイント】ケアマネジャーの質や専門性が公開されるサイトも増えています。「近いから」という理由だけでなく、「親の病気に理解があるか」で選ぶことが、介護のQOL(生活の質)を劇的に変えます。


介護保険制度でよくある質問

Q
認定の結果が出る前にサービスを使いたいのですが。
A

可能です。「暫定ケアプラン」を作成すれば、申請日からサービスを利用できます。ただし、万が一「非該当」になった場合は、全額自己負担(10割)になるリスクがあるため、ケアマネジャーと相談して進めてください。

Q
親が遠方に住んでいます。どこで申請すればいいですか?
A

親が住民票を置いている市区町村の窓口です。今は郵送やマイナポータルでの申請が可能です。実際のサービス調整は、現地の「地域包括支援センター」が相談に乗ってくれます。

Q
2026年、一人暮らしの親の認定調査。家族が立ち会えない場合は?
A

オンラインビデオ通話(ZoomやLINE)を利用して、遠方の家族が調査に「リモート立ち会い」することを認める自治体が増えています。事前に調査員へ相談してみましょう。


まとめ|「介護保険」は、あなたの生活を守る盾

介護保険制度は複雑ですが、正しく利用すれば、あなたの仕事や自分の時間を守る強力な「盾」になります。

「手続きが難しそう」「うちはまだ大丈夫」と先延ばしにしている間に、介護負担はどんどん重くなり、ある日突然、共倒れになってしまう……そんな悲劇を防ぐための制度です。

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