親の介護はいつから始まる?「要介護」になる前に親子で準備しておくべきこと

  • 公開日:2026.04.20
  • 更新日:2026.04.26
中野 雄一
執筆者

中野 雄一

なかの ゆういち

  • 2級ファイナンシャル・プランニング技能士
  • 認知症サポーター

【専門分野・得意分野】
・相続・終活コンサルティング(不動産、家族信託、介護、お墓など)
・資産運用・ライフプランニング
・生命保険・医療保険
【自己紹介】
1,000世帯以上の相談実績を持つ終活の専門家。相続から不動産・保険などのお悩みに対し、幅広い知識で最適な情報を提供する。

【所属会社名】株式会社鎌倉新書ライフパートナーズ
https://www.kamakura-life.co.jp/

【2026年最新】親の介護はいつから始まる?「要介護」になる前に親子で準備しておくべきこと

「親はまだ元気だから、介護の話なんて早いかな?」 「もし急に倒れたら、まずどこに連絡すればいいの?」 「お金の話を切り出すと親が不機嫌になる。どう伝えれば角が立たない?」

2026年、団塊の世代がすべて80歳を超え、日本はいよいよ「大介護時代」の真っ只中にいます。介護は、ある日突然、一本の電話から始まります。しかし、準備のないままその日を迎えると、家族の仕事、お金、そして精神的な平穏が、ドミノ倒しのように崩れてしまうことがあります。

介護は、決して「終わりの見えない戦い(不安)」ではありません。それは、親御さんが築いてきた人生を、いかに穏やかに支え、次世代へ繋いでいくかという「伴走」の始まりです。

本記事では、「要介護」の一歩手前で何を準備し、何を話し合っておくべきか、「プレ・介護戦略」を徹底解説します。


【結論】統計から見る「介護が始まる時期」のリアル

介護は決して「他人事」ではありません。「うちはまだ大丈夫」という根拠のない自信は、現代ではリスクでしかありません。

①「75歳の壁」と「85歳の崖」

厚生労働省の統計や最新の寿命推計を紐解くと、大きな節目が2つあります。

  • 75歳前後(後期高齢者の入り口): 体力的な衰えが顕著になり、「フレイル(虚弱)」予備軍が増える時期です。
  • 85歳以上: 約半数の人が何らかの支援を必要とするという、文字通りの「崖」です。80代前半の親御さんを持つあなたは、今まさに「準備の黄金期」にいます。

②介護が必要になる「3大原因」

突然の脳出血や転倒による骨折は、最新の医療でも完全に防ぐことはできません。しかし、原因の約25%を占める「認知症」については、早期の気づきと資産の防衛で、その後の混乱を劇的に減らすことができます。

  1. 認知症(約25%): 徐々に進行するため、気づいた時にはかなり進んでいるケースが多い。
  2. 脳血管疾患(脳卒中など): 突然始まり、即座に「全介助」になるリスクがある。
  3. 骨折・転倒: 身体的な自立が一気に失われ、入院からそのまま介護生活へ。

見逃さないで!「プレ介護」のサイン(フレイルの兆候)

「介護認定」が下りる前の、身体機能や認知機能が低下し始めた状態を「フレイル(虚弱)」と呼びます。このサインに気づけるのは、一番身近な家族だけです。帰省時に以下のポイントを「さりげなく」チェックしましょう。

①身体のサイン

  • 歩行スピードの低下: 横断歩道が青信号のうちに渡りきれなくなった。
  • 握力の低下: ペットボトルの蓋が開けられない、重い買い物袋を嫌がる。
  • 食事の変化: 「噛むのが面倒」と言って、柔らかいものや麺類ばかり食べるようになった。

②生活環境(実家)のサイン

  • 冷蔵庫の中身: 賞味期限切れのものが散見される。同じ調味料が3つ以上ある。
  • ゴミ出しの滞り: 特定の曜日(資源ゴミなど)が出せていない。
  • 郵便物の山: 封を開けていない重要な書類(役所からの通知など)が溜まっている。

③コミュニケーションのサイン

  • 同じ話を繰り返す: 30分前に話したことを、初めて話すかのように語る。
  • 身なりの変化: 毎日同じ服を着ている、髪が乱れている。
  • お風呂の拒否: 「昨日入ったからいいよ」と言って数日着替えていない。入浴を面倒がる。

【ステップ1】「お金」と「資産」の透明化:資産凍結を回避せよ

マネナビが最も重要視するのがこのステップです。なぜなら、最も怖いのは「親のお金が動かせなくなること」だからです。介護が始まっても、お金は「流れ」が止まらないことが重要です。

①認知症による「口座凍結」の恐怖

2026年現在、銀行のマネーロンダリング対策や特殊詐欺対策は極限まで強化されています。「暗証番号を知っている」だけでは、高額な介護費用の送金や、定期預金の解約はできません。

親が認知症になり、銀行の窓口で意思確認ができなくなると、たとえ実の子でも親の預金を引き出せなくなります。

②元気なうちにしかできない「家族信託」

認知症で口座が凍結される前に、信頼できる子に管理権を託す「家族信託」を結んでおけば、親が施設に入った後に子が自分の判子一つで実家を売却し、介護費に充てることが可能です。

  • 仕組み: 親の判断能力がしっかりしているうちに、特定の財産(介護費用のための預金や実家)の管理権を子供に移しておく契約です。
  • メリット: 認知症になった後でも、子供の判子ひとつで親の入院費を払い、不要になった実家を売却できます。

③ 年金額と貯蓄額の把握

親にいくら持っているか聞きづらい方も多いのではないでしょうか。

「将来、お父さんが希望する一番いい施設に入るためには、今の年金で足りるか計算しておきたいんだ」と、「親の希望を叶えるため」という大義名分を使いましょう。


【ステップ2】住まいの「安全化」とデジタル活用

「介護が必要になる原因」の多くは家の中での転倒です。

①2026年のスマートホーム介護

今の時代、大掛かりなリフォームの前に「デジタル見守り」が一般的です。

  • IoTセンサー: 電気ポットの使用やトイレのドアの開閉で安否を確認するセンサーは、親のプライバシーを守りつつ、遠方の子供に安心を届けることができます。
  • 見守りカメラ: 転倒をAIが検知し、即座に子供のスマホへ通知されます。

②バリアフリーの「先回り」

  • 段差解消: わずか数センチの段差が命取りになります。スロープの設置は要介護認定前でも可能です(全額自己負担ですが、将来の安心を買う投資です)。
  • 照明の明るさ: 加齢とともに視力は落ちます。足元を明るくするだけで転倒リスクは激減します。

【ステップ3】「家族チーム」の構築と相談先の確保

一人で抱え込むことが、介護離職や共倒れの最大の原因です。いざとなった時に誰がリーダーシップを執るか、親族間で決めておく必要があります。

①役割分担の明確化

通常は「近くに住んでいる子」や「長男・長女」が担いますが、2026年は「仕事が忙しい子(意思決定担当)」と「近隣に住む子(実働担当)」のように役割分担をするのがスムーズです。

②地元の「地域包括支援センター」を知る

まだ介護が始まっていなくても、親の住所の担当センターを確認してください。彼らは、あなたの「プレ・介護」の不安を聞いてくれる最初の専門家です。

【ポイント】地域包括支援センターは介護保険の申請窓口であり、高齢者の生活全般の「よろず相談所」です。


【超重要】親の心を開く「コミュニケーション」

「介護」という言葉を出すと、「俺を年寄り扱いするな!」と怒り出す親御さんは多いものです。「お金のこと教えて」「介護はどうする?」と直球で聞くのはNGです。

①「お父さんを助ける」ではなく「私(子)を助けてほしい」

「お父さんが倒れたら私が困っちゃうから、今のうちに保険証や通帳の場所を教えておいてくれないかな?」と、子供側の不安を解消してほしいという姿勢で頼みましょう。

②「もしも」の時の希望を「書く」

「延命治療はどうしたい?」「どこの施設ならいい?」といった重い話は、エンディングノートのようなツールを使い、イベント(正月や誕生日)の際に少しずつ埋めていくのがコツです。


介護準備に関するよくある質問

Q
親が絶対に「介護認定」を受けたくないと言い張ります。
A

無理に認定を受けさせる必要はありません。まずは「最近疲れやすそうだから、リハビリ専門の先生に健康診断をしてもらおう」と言って、デイサービスの見学を「フィットネスクラブの体験」として提案してみてください。

Q
独身ですが、一人で親を介護する覚悟が必要ですか?
A

絶対に一人で背負わないでください。 介護のプロや社会制度をいかに「使いこなすか」が介護の成功です。あなたの仕事と生活を優先し、専門家に任せる「プロ介護」への意識転換をマネナビは推奨します。

Q
準備にいくらくらい費用をかけておくべきですか?
A

物理的な準備(リフォーム等)よりも、まずは「家族信託」などの法的準備(初期費用数十万円〜)を優先してください。現金が動かせなくなると、その後のリフォーム代すら出せなくなるからです。


まとめ|「後悔しない介護」は、今の対話から始まる

介護の始まりは、家族の歴史の新しい章の始まりでもあります。

私たちは「いかに長く健康でいられるか」と同時に、「いかに賢く老いを受け入れるか」が問われる時代にいます。親が「要介護」になる前に、親子で準備を整えることは、「親の尊厳」を守り、同時に「あなたの未来」を守ることなのです。

一人で悩む必要はありません。まずは実家に帰った時の「気づき」を大切にしてください。何かご不安な点がありましたらお気軽にお問い合わせください。

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