相続税の基礎控除とは?計算方法と「申告が必要なボーダーライン」の判断基準

  • 公開日:2026.04.17
  • 更新日:2026.04.25
執筆者

吉原 武志

よしはら たけし

  • 3級ファイナンシャル・プランニング技能士

【専門分野・得意分野】生命保険・ライフプランニング
【自己紹介】業界歴14年の経験を活かし、お客様お一人おひとりの生活環境や将来のご希望を丁寧に伺い、寄り添った提案をいたします。

【所属会社名】株式会社鎌倉新書ライフパートナーズ
https://www.kamakura-life.co.jp/

【2026年最新】相続税の基礎控除とは?計算方法と「申告が必要なボーダーライン」の判断基準

「親が亡くなったけれど、うちも相続税を払わなきゃいけないの?」「基礎控除ってよく聞くけど、具体的にいくらまでなら無税なの?」「もし申告が必要なのに放置してしまったら、どんなペナルティがある?」

相続が発生した際、多くの方が最初に抱く不安は「税金」のことでしょう。相続税には「基礎控除(きそこうじょ)」という非課税枠があり、正しく計算すれば、実は日本国内の相続の約9割は相続税がかからないと言われています。

しかし、2026年現在は、都市部を中心とした地価の上昇、さらには2024年から段階的に強化されている「生前贈与の加算期間延長(7年ルール)」の影響により、「うちは大丈夫」と思っていた家庭が、知らぬ間に課税対象(ボーダーライン超え)になっているケースが急増しています。

本記事では、相続の専門家が「基礎控除の正しい計算方法」から、遺産総額の正確な出し方、そして「税金は0円でも申告が必要なケース」まで、どこよりも詳しく徹底解説します。

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相続税の「基礎控除」とは?【最強の非課税枠】

相続税の基礎控除とは、簡単に言うと「この金額までは国が税金をかけません」というボーダーラインのことです。

亡くなった人の遺産の合計額が、この「基礎控除額」を下回っていれば、相続税は1円もかからず、税務署への申告も一切不要です。逆に、1円でも超えていれば、原則として相続発生から10ヶ月以内に申告と納税を行う義務が生じます。

①なぜ「基礎控除」を正しく知る必要があるのか

「少し超えているけれど黙っていればバレないだろう」という安易な判断は、将来的に重加算税や延滞税といった重いペナルティを招くことになります。まずは自分の「正確な非課税枠」を知ることが、資産を守る第一歩です。


【2026年版】基礎控除の計算式と早見表

相続税の基礎控除額は、「法定相続人の数」によって決まります。計算式は非常にシンプルです。

相続税の基礎控除額 = 3,000万円 +( 600万円 × 法定相続人の数 )

法定相続人の数による基礎控除額の早見表

法定相続人の数基礎控除額(非課税枠)
1人3,600万円
2人4,200万円
3人4,800万円
4人5,400万円
5人6,000万円

重要!「法定相続人の数」を数える時の注意点

計算式の「法定相続人の数」を間違えると、基礎控除額の算定に誤りが生じ、全ての計算結果が不正確になります。2026年の実務で特に間違いやすいポイントを整理します。

①相続放棄をした人がいる場合

「私は財産はいらない」と相続放棄をした人がいても、基礎控除の計算上の「人数」には含めます。

  • 例:相続人が子3人で、そのうち1人が放棄した場合でも、基礎控除は「3人分(4,800万円)」として計算します。これは、放棄によって他の相続人の税負担が急増するのを防ぐためのルールです。

②養子(ようし)がいる場合の制限

節税目的で養子を増やすことを防ぐため、人数に含められる養子の数には制限があります。

  • 実子がいる場合: 養子は1人までカウント可能
  • 実子がいない場合: 養子は2人までカウント可能

④代襲相続(だいしゅうそうぞく)が発生している場合

亡くなった人の子供がすでに亡くなっており、その孫が相続する場合、孫の人数をそのままカウントします。


遺産総額の計算:ボーダーラインを判定する「5つの項目」

基礎控除額がわかったら、次は「遺産が全部でいくらあるか」を計算します。現金だけでなく、以下の項目をすべて合算する必要があります。

①プラスの財産(時価ではなく「評価額」)

  • 現預金・有価証券: 手元の現金、すべての銀行口座、株式、投資信託
  • 不動産(土地・建物): 2026年現在は、路線価の上昇により評価額が上がっています
  • デジタル資産: ネット銀行、仮想通貨(暗号資産)、スマホ決済の残高
  • みなし相続財産: 生命保険金、死亡退職金(※「500万円 × 法定相続人数」の非課税枠を引いた後の金額)

②【重要】2024年改正:生前贈与の加算(7年ルール)

2026年の相続において最も注意すべきなのがこれです。亡くなる前に贈与された財産を遺産に足し戻す期間が、これまでの「3年」から「7年」へと段階的に延長されています。

「昔あげたお金だから大丈夫」と思っていても、亡くなる前7年以内のものは基礎控除の算定に含まれます。

③マイナスの財産(差し引けるもの)

  • 負債: 借入金、住宅ローン、未払いの税金、未払いの医療費
  • 葬儀費用: お通夜・告別式の費用、お寺へのお布施など(※香典返しや法要費用は含まれません)

「税金は0円」なのに、申告しなければならないケース

これが本記事で最もお伝えしたい、「自己判断の危険性」です。 特定の「特例」を使うことで相続税が0円になる場合、「申告をすること」が特例適用の条件となっているため、申告を忘れると数百万〜数千万円の税金が後から請求されます。

①配偶者の税額軽減(配偶者控除)

配偶者は、相続財産額が「1億6,000万円」または「法定相続分」のどちらか多い金額まで、相続税がかかりません。

落とし穴】この特例は、期限内に申告書を提出しなければ適用されません。 申告せずに放置すると、基礎控除を超えた分に課税対象となります。

②小規模宅地等の特例

亡くなった人の自宅を相続した場合、その土地の評価額を最大80%減額できる制度です。

  • ポイント:誰が相続するかで条件が変わります。
    ・配偶者が相続する場合:条件はほぼありません。別居していても特例が使えます。
    ・同居していた親族が相続する場合:「相続開始前〜申告期限まで、ずっと同居して住み続けていること」が必要です。
    ・同居していない親族が相続する場合:厳しい条件をすべて満たす必要があります
  • 例: 5,000万円の土地が、特例適用で評価額1,000万円になることで相続財産が減少。

【落とし穴】これも申告が必須です。申告しない場合、5,000万円として計算されるため、一気にボーダーラインを超えてしまいます。


相続税申告の期限と「遅れた時のペナルティ」

相続税の申告と納税の期限は、「相続の開始があったことを知った日の翌日から10ヶ月以内」です。

  • 延滞税: 納めるべき税金に対し、利息のようにかかります。
  • 無申告加算税: 期限内に申告しなかったことへのペナルティ。
  • 重加算税: 財産を意図的に隠した場合、最大40%の重い税率が課されます。

10ヶ月という期間は、不動産の評価や遺産分割協議をしているとあっという間に過ぎてしまいますので、注意しましょう。


基礎控除のよくある質問

Q
タンス預金は基礎控除の計算に含めなくて良いですか?
A

いいえ、必ず含めてください。税務署は故人や家族の過去10年分以上の口座推移を調査しており、不自然な出金は必ず指摘されます。

Q
自宅がいくらなのか、素人では計算できません。
A

土地の評価(路線価方式)は非常に複雑です。特に形状が複雑な土地や私道がある場合、プロが評価すると数百万円単位で評価額(=税金)が下がることがあります。

Q
借金の方が多いのですが、この場合も基礎控除の計算は必要ですか?
A

明らかに借金が多い場合は、相続税の心配よりも「相続放棄」の検討が必要です(期限は3ヶ月以内)。


まとめ|「後悔しない相続」のために今すべきこと

相続税の基礎控除は、一見するとシンプルな計算式ですが、その裏には「正確な財産調査」「複雑な不動産評価」「生前贈与の加算」といった、素人判断では危険な要素が詰まっています。

「うちは大丈夫だろう」という思い込みが、後の税務調査や親族トラブルを招くこともあります。2026年の最新税制に基づき、一度プロの目を通しておくことが、最大の節税であり、安心への近道です。

「マネナビ」では、相続税に特化した熟練の税理士や相続対策の専門家と提携しています。まずは無料の基礎控除判定シミュレーションで、あなたの家の「本当のボーダーライン」を明らかにしませんか?

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